国内男子ツアーが開幕した。オフシーズンの試行錯誤を経て、クラブセッティングに変化が見られる選手も少なくない。その中で、昨年のドライビングディスタンスで306.37ヤードを記録し、4位に入った飛ばし屋・幡地隆寛も、大きなセッティング変更を施していた。
注目すべきは、ウッド構成だ。昨年2勝目を挙げた「バンテリン東海クラシック」でも使用していたタイトリストの『GT4』を、今年も引き続き投入。以前も『TSR4』を使用しており、「『2』はフェードは打ててもドローが打てない。『4』はどちらにも曲げられる。操作性に特化しているんです」と話すように、“4”シリーズへの系譜に変わりはない。
一方で、フェアウェイウッドとユーティリティには、“やさしい”モデルとされる『GT1』を選択。3機種ある中で最も軽量で球も上がりやすいモデルだ。フェアウェイウッドとユーティリティには『4』は存在しないものの、性格としては対極のモデル。ただ、幡地にとっては「いい意味で飛びすぎない」という点が決め手になった。
「他の機種も打ってみたけど、自分の中では飛びすぎる傾向があった。『GT1』は、ある一定のヘッドスピードを超えても、それ以上飛びすぎない感じがあって、自分に合っている」と語るように、“飛びすぎない”性能が魅力。球が上がりすぎないよう、ロフト角は14.5度に調整して帳尻を合わせている。
飛ばし屋である幡地はもちろん、同じく契約選手の米澤蓮もウッドはすべて『GT1』にするなど、ツアープロもこぞってバッグインしており、このモデルは、想像以上に“守備範囲”が広いのかもしれない。
アイアンは、昨年と同様に『620MB』を使用。バックフェースには鉛をべったりと貼っており、もはやタイトリストのロゴが見えないのも特徴的。つかまりを抑えるためにロフト角を寝かせてオンセットに調整しており、その結果バウンス角が増すため、ソールを削っている。削った分のバランスを調整するための鉛をベタ貼りしている。
「あれだけ鉛を貼っているので、貼り直す必要もある」と語るように、試合を重ねる中で広がっていく鉛の微調整も欠かせない。ただ、現在はスイング改革にも取り組んでおり、「最近はアイアンのつかまりが気にならなくなってきたので、ノーマルに戻すかもしれない」と、ヘッド自体の変更も視野に入れている。長らく続いた“鉛の呪縛”から解き放たれる日も近いかもしれない。
ウェッジは、46度、52度、57度、63度(※リアルロフトは62度)の4本体制。以前は一番ロフトの大きいクラブが61度だったが、「もう少し(ロフト角が)欲しい」と感じて63度を試したところ、「2~3ヤード足りない」と悩み、結果的に62度に落ち着いた。そこを基準に、5度刻みで57度、52度の構成となった。パターは、スコッティ・キャメロンの『Phantom X T-11』をベースにしたプロトタイプを、今年も継続して使用している。
ツアー屈指の飛ばし屋のこだわり抜いた14本。一見ハードに見えるセッティングも、ウッドのチョイスはアマチュアも参考になるヒントが詰まっているかもしれない。(文・齊藤啓介)
【幡地隆寛のクラブセッティング】※15本
1W:タイトリストGT4(10°ディアマナWB 73TX)
3W:タイトリストGT1(14.5°ディアマナWB 73TX)
4U:タイトリストGT1(20°テンセイ Pro 1K Hybrid 90TX)
UT:タイトリスト T350(ロフト不明 ベンタス BK HB 10TX)
4I~PW:タイトリスト620MB(KBS プロトタイプ)
46,52,57,63°:ボーケイSM10(〃)
PT:スコッティ・キャメロン Phantom X T-11 プロトタイプ
BALL:タイトリスト Pro V1xレフトダッシュ