<中日クラウンズ 3日目◇4日◇名古屋ゴルフ倶楽部 和合コース (愛知県)◇6557ヤード・パー70>
和合戦の決勝ラウンドがスタートした。トップに2打差のトータル8アンダー・2位タイでムービングデーを迎えた河本力は1イーグル・3バーディ・4ボギー・1ダブルボギーの「71」で回りトータル7アンダー・5位タイで最終日に進む。
朝一から観客を楽しませた。最終組でスタートした河本は1番パー4で3番ウッドを握りワンオンにチャレンジ。ギャラリーの期待を集める中、放たれたショットはグリーンにキャリーすると、ピンに向かって一直線。「おー! 入れ! 行け!」とギャラリーも大騒ぎ。カップの右スレスレを通過し3メートル先で止まった。慎重にラインを読みアドレスに入ると、その場が一気に静まり返った。
優しいタッチのパットはゆっくりと転がり、ボールはカップに吸い込まれ、その場は大歓声とたくさんの拍手に包まれた。出だしからド派手なイーグル発進を見せつけた。
「(グリーンの)右手前バンカーオッケーで打った。絶対にドローはさせて。右の突き抜けだけは絶対にさせないように。強いドローを打ちすぎると、やっぱり転がりすぎて奥に行ってしまうので、行ってしまうとノーチャンスになる。すごくいいスピンといい曲がり方といい、完璧ですね」
1番パー4は370ヤードの打ち下ろしで、左ドッグレッグホールとなっている。この日のピン位置は左奥でグリーンを外すと左側にはバンカーがある。「打ち下ろし20ヤードで、エッジが大体333ヤードのマイナス21。ピンは10入っていたのでキャリー300ヤードは必要でした」と本人も満足する“激飛び”の一打で最高のスタート。男子ツアーだからこそ味わえる“興奮”のワンシーンだった。
次の2番パー5でも1つ伸ばして、7番、8番でも連続バーディを奪取。前半を4アンダーで終えた。だが、後半の11番でまさかのダブルボギー。ここは予選ラウンドでワンオンを狙っていたホールでもある。ティショットを右に打つも、「セカンドはいいショットを打ったんですよね。僕自身のなかでは。僕がクリアしたい木はクリアして先っぽだけにあたったと思ったんですけど…ボールが木に吸収されたんですよね」と目を丸くした。
「びっくりした、あれ? って思って…」と予想だにしない出来事が発生した。「カーンって感じではなくて、なんか“ぐにゃーん”って戻ってきて」と変わった動きで跳ね返ってきたという。河本のなかでは自信のあるショットで「乗ったと思っていたので悔しいですね。想定していないスコアだった。自分のなかでは全然気にしているつもりはなかったのですが」。
不意打ちのダボに面くらい、そのあとは13番から3連続ボギーを喫し、スコアを1つ落としてホールアウト。それでも笑顔を見せ、前向きだ。茨城県の会場では姉の結が国内女子メジャー「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」で戦っている。3日目を終えてトップに5打差の5位タイ。姉弟の同日優勝が期待されることを取材陣から問われると、「全然可能性はあると思う」と真剣な眼差しで答える。
ゴルフの調子は悪くない。「(攻め方は)1ミリも変えるつもりはない。自分に集中して最初から最後までやりきること」をテーマにしていく。「ピンポジションと風と相談しながら」。離れた舞台で戦う姉とともに、3勝目に挑んでいく。(文・高木彩音)