<ゴルフ日本シリーズJTカップ 事前情報◇27日◇東京よみうりCC(東京都)◇7002ヤード・パー70>
優勝賞金4000万円の今季国内男子ツアー最終戦が開幕。現在賞金ランキング1位の平田憲聖(1億1244万879円)と、同2位の金谷拓実(1億955万1222円)との差はわずかに288万9657円。し烈な賞金王もいよいよ決着を迎える。
「ツアーに出ている選手なら、本当に誰しもがこのタイトルは取りたいと思っていると思いますし、それを獲ることは本当に難しいこと。1年間で1番上手かった選手がそういうタイトルになってくると思うので、もうここまで来た以上、そこを目指して獲りたい」と、これまではあまり意気込む姿を見せなかった平田だが、今大会を前に“戴冠”への強い意欲を見せた。
今季4勝を挙げ、飛躍的なシーズンを送った平田。舞台となる東京よみうりCCは、「飛ばせばいいという感じのコースではない」というように、グリーンがとにかく速く、下りを残してしまうと弱いパッティングストロークでもボールは止まりにくい。ショットはもちろん、グリーン周りでのアプローチがカギになると見ている。
だからこそ「ショートゲーム、パッティングの部分が上手いひとが毎年上位に来ているようなイメージがある。その辺がいい時の自分のゴルフができれば噛み合ってくれるかなと思います」と分析し、練習ラウンドではショートゲームを重点的に行う姿があった。
対する金谷は「自分のプレーで状況は変えられると思うし、去年は優勝を逃して悔しい思いをしてきたので、最後しっかり自分らしいプレーを貫ければいいなと思います」と意気込む。昨年は最終戦を前に「カシオワールドオープン」で中島啓太が賞金王に輝き、決着がついてしまったが、今回は最後の最後までチャンスが残されている。
金谷はこれまで、初出場となった2020年大会で5位、21年大会で3位、23年大会では2位タイと順位を上げており、コースとの相性は悪くはない。「今年もグリーンのコンディションは素晴らしくて、スピードも出ていた。本当にこのコースはグリーンのアンジュレーションが強くて、パッティングとかが難しくなるので、その中でしっかり対応していきたい」と戦略を明かした。
今大会の初日の組み合わせは、先週の「カシオワールドオープン」終了時点での賞金ランキング順となっている。二人は第1ラウンドから同3位の今平周吾も含めた同組で直接対決となる。
これに平田は「お互いで目の前でプレーしながら。そっちのほうがむしろやりやすいと思っている。見えていたほうがいいかなと僕は思っているので、それを楽しみながら初日はまずやりたい」と同組のラウンドにも気負いは無い。
昨年も賞金ランキング2位で迎えた金谷は「あの時も、その組全体がそのプレッシャーでみんな良くなくて、自分も良くなかったし、やっぱりそういったのはこの大会の面白いところだと思う。その時も多分優勝しないと厳しい状態だった。自分のプレーというか、やっぱりそういう 結果にすごく囚われて、なかなかいいプレーができなかったので。今回はリベンジしたいなと思います」と話す。昨年は初日に「64」をマークして2位発進。そこから「67」、「68」、「67」とスコアを伸ばすも優勝には至らず。挽回の意欲を見せている。
金谷は、優勝すれば平田がいかなる順位でも戴冠であるが、逆転賞金王への必要条件としては、平田が途中棄権となり、賞金加算がなければ、11位タイ(2人の11位タイ)以上であれば298万7593円獲得で、平田が最下位となった場合は、8位タイ(2人の8位タイ)以上であれば378万7093円獲得し金谷が賞金王となる。
平田の逃切り条件としては、優勝、単独2位で1500万円獲得し金谷がそれ以下の順位、2位タイ(2人の2位タイ)で1250万円を獲得し金谷がそれ以下の順位で終えること、などになる。互いに“王者”になることへの気合いは十分。泣いても笑っても最後の戦い。緊張の4日間が幕を開ける。(文・高木彩音)