<日本オープン 事前情報◇10日◇茨木カンツリー倶楽部 西コース(大阪府)◇7315ヤード・パー70>
今年の日本オープンの舞台は関西の名門、茨木カンツリー倶楽部(茨木CC)。ここから輩出されたプロたちは「茨木一門」として、日本ゴルフ界で一時代を築いた。そのなかにツアー通算28勝を挙げ、2011年に74歳で生涯をとじた杉原輝雄がいる。昨年、茨木カンツリー倶楽部の所属プロを退職し、この日本オープンが終わるまで1年間アドバイザリー契約を結んでいる木本邦彦(66歳)に杉原との思い出を聞いた。
「クラブをまたいだだけで怒られた」日本オープンの舞台、茨木CCで振り返る杉原輝雄の記憶
今年の日本オープンの舞台は関西の名門、茨木カンツリー倶楽部(茨木CC)。ここから輩出されたプロたちは「茨木一門」として、日本ゴルフ界で一時代を築いた。そのなかにツアー通算28勝を挙げ、2011年に74歳で生涯をとじた杉原輝雄がいる。
配信日時:2023年10月10日 22時30分
<日本オープン 事前情報◇10日◇茨木カンツリー倶楽部 西コース(大阪府)◇7315ヤード・パー70>
今年の日本オープンの舞台は関西の名門、茨木カンツリー倶楽部(茨木CC)。ここから輩出されたプロたちは「茨木一門」として、日本ゴルフ界で一時代を築いた。そのなかにツアー通算28勝を挙げ、2011年に74歳で生涯をとじた杉原輝雄がいる。昨年、茨木カンツリー倶楽部の所属プロを退職し、この日本オープンが終わるまで1年間アドバイザリー契約を結んでいる木本邦彦(66歳)に杉原との思い出を聞いた。
1923年に設立された歴史ある茨木CC。ここで開催された3度を含む日本オープン歴代最多の6勝を挙げたレジェンド、宮本留吉が所属プロになったのは1925年のこと。以降、木本三次、寺本金一、宮本省三、杉原といった茨木CCのプロたちが公式戦を次々と制していく。
杉原は茨木市にある春日丘高校の定時制に通いながら、茨木CCでバスタオルなどの洗濯をしていた。そのまま見よう見まねでゴルフを始めて18歳で研修生となり、20歳でプロテストに合格。茨木CCでクラブ職人として働いていた宮本留吉の弟子、山本丈助氏の娘・玲子さんは、のちに杉原の妻となる。
一方で、関西オープンに1回、関西プロに2回優勝し、茨木CCのヘッドプロだった木本三次は木本の父親。その流れで、木本も高校を出てすぐに茨木CCで研修生となり、20歳でプロとなった。すでに杉原は茨木CCの所属プロではなかったが、「茨木に長く関わったということで練習の場を提供してもらっていた」。杉原と木本は練習後に、所属プロらと何人かでラウンドを一緒にしていた。
当時、杉原がどんな存在だったかと木本に聞くと、「神様ですね」と即答する。そして「僕らからすると厳しいという感覚です」という印象を持つ。あるときの練習ラウンドで、木本が2本クラブを持って行き、1本を置いてミスショットを放つと、杉原から「もう一発打ったらどうや」と促された。「キャディバッグにボールを取りに行こうと、地面にあるクラブをまたいだだけでえらい怒られましたね。『お前、これに稼がせてもろうてるんやないかい!』ということです。そういうところは本当に厳しかった」。
ゴルフに対してだけでなく、上下関係にもきっちりしていた。「先輩をものすごく大事にしていましたね。言ったら悪いけど、プロで成績の上がらない先輩でも、挨拶はしっかりされていました」。杉原は国内男子ツアーでは7人しかいない通算25勝以上を挙げた永久シード選手。“関西のドン”と呼ばれ、トッププロになっても先輩を敬う心は決して忘れなかった。
また、杉原は160センチと体が小さく飛ばない。それでも飛ばし屋の尾崎将司らと渡り合えたのは、長いクラブでの正確なショットがあったから。杉原の卓越した技術を象徴する話がある。「茨木CCの東の2番は220ヤードくらいのところにフェアウェイバンカーがあるんです。僕らはその左のフェアウェイバンカーをキャリーで越える。当時は地面が硬いこともあって、杉原さんはバンカーの手前にワンバウンドさせて越すんです。実際に狙ってやっていました」。つまり、杉原はドライバーでバンカーの手前に正確にキャリーさせていたのだ。
「とにかく練習はたくさんされていました」というエピソードも。「杉原さんの一番の欠点はバンカーなんです。朝、お客さんがバンカーの練習をしている杉原さんを見て、『杉原、おはよう』と挨拶すると、上がってきたときもまだバンカーにいる。そして、昼からスタートして上がってきたらまだやっていたそうです。5、6時間くらいいたことになりますね」。
それを杉原に訪ねたところ、「たまたま通ったときにやっていただけや。昼寝もしたし、飯も食った」と否定したが、木本はずっとバンカーにいてもおかしくないと思っている。なぜなら、当時ライバル関係だった杉原と宮本省三が、競い合うようにコースに残っていたのを知っていたからだ。「どっちが先に練習をやめて帰るか、そんな勝負でした」と語る。
ゴルフをこよなく愛し、礼儀に厳しかった杉原が長く過ごした茨木CCで行われる日本オープン。上手いだけでは勝てないといわれるメジャーで、どんなチャンピオンが生まれるのか楽しみだ。(文・下村耕平)
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