<長嶋茂雄INVITATIONALセガサミーカップ 事前情報◇27日◇ザ・ノースカントリーゴルフクラブ(北海道)◇7178ヤード・パー72>
今週の男子のツアー会場には、新しい真っ黒なパターが並んでいる。オデッセイの新作でソールを見ると、『WHITE HOT BLACK SERIES』と刻印されている。
ホワイトホットといえば、2000年に初代が誕生し、20年には『ホワイトホット OG』として進化を遂げたオデッセイが誇る超人気モデル(OGは「Old Gangster」の略で、「古き良きもの」という意味)。なんといってもその特徴はボールと同じウレタン素材を採用したフェースインサートにある。
ソフトな打感で反発性がよく、インパクト時のエネルギーロスを抑えてくれる。ウレタンを使うという発想に加えて、いまではスタンダードとなっているフェース面が白いことも革新的だった。ホワイトホットインサートが搭載されたパターは、プロだけでなくアマチュアゴルファーも一度は使ったことがあるに違いない。
オデッセイはこれまでに数多くのモデルを出しているが、ヘッドが真っ黒だったのは『ブラックシリーズ・ツアーデザイン』で、これはノンインサートだった。また、白と黒のコントラストが特徴の初代『ヴァーサ』には、黒いホワイトホットインサートが搭載されていた。ヘッドもインサートも真っ黒なパターは今回が初めてとなる。
「かっこいい」とプロの評判も上々で、朝の練習グリーンには多くの『WHITE HOT BLACK SERIES』が並んでいたが、昼を過ぎた頃には数はかなり少なくなっていた。今平周吾、稲森佑貴、池村寛世、時松隆光らに加えて、石川遼にはL字型の『#9』が手渡されている。
そう、今回は『ホワイトホット OG』にはなかったL字型がラインナップされている。石川はいまでこそショートネックのブレード型モデル、『TRI-HOT 5K THREE』を愛用しているが、それまでの11年間はL字型の『プロタイプ iX #9HT プロトタイプ』を使って多くの勝利を重ねてきた。石川は火曜日にこの新作をバッグに入れて練習ラウンドを行ったが、まだテストはしていない。
初代の『ホワイトホット #5』を20年以上使っている谷口徹も興味津々で、「ヘッドを軽くしたい」とリクエスト。昔のパターは現在のものに比べるとヘッドが軽いのだ。新作のソールのトゥ側とヒール側には『TRI-HOT 5K』や『トライビーム』と同様のオモリが搭載されており、これを付け替えることでヘッド重量を調整できるようだ。もし、谷口がパターを変更するとなればニュースになるだろう。
実際に今大会で投入しそうなのはツアー4勝のキム・ヒョンソン(韓国)と、ツアー通算2勝の香妻陣一朗。ツノ型の『#7』をチョイスしたヒョンソンは「チョベリグッ!」とちょっと古い流行語を使いつつ、「トライビームよりもローテーションがしやすい。ネックも黒くてオシャレです。インサートも黒いのでストロークに集中できて良かった」と流ちょうな日本語で絶賛する。
ホワイトホットインサートのマレット型パター『ミルドコレクション TX 6M』をエースにしている香妻は、大型マレットの『TWELVE』とL字型の『#9』をテスト。多くの選手が白いホワイトホットインサートよりも、おそらく視覚的に「打感が硬く感じる」と話していたなかで、香妻は「打感の違いはあまり感じなかった」という。
真っ黒なヘッドについては「シュッとして見えるから真っ黒はけっこう好きですね」と気に入っている様子。そしてアライメントの線まで黒で目立たないが、「僕はもともと線が要らないタイプ」と気にしていない。今シーズン、香妻は「けっこうパターに悩んでいる」が、真っ黒なパターできっかけをつかみたいところだ。
ホワイトホットなのに黒くてクールなパターは、まだキャロウェイからは何の情報もない。それでも、ツアーでの反応を見ていると、今年発売された三角ネックの『トライビーム』に続く人気モデルとなりそうだ。(文・下村耕平)