<日本プロゴルフ選手権 最終日◇30日◇恵庭カントリー倶楽部(北海道)◇7441ヤード・パー72>
トータル5アンダー、首位と5打差のから出た蝉川泰果は「優勝スコアは12アンダー」と予想し、ビッグスコアを目指してスタート。12番までに4つ伸ばして一時は1打差まで詰め寄ったが、終盤伸ばしきれずに「68」。優勝した平田憲聖と2打差のトータル9アンダー・2位タイで悔しさをにじませた。
1番、2番のバーディチャンスを逃すと、7番パー4でようやく初バーディ。9番パー5では2オンに成功し、8メートルのイーグルトライは20センチほど手前で止まり天を仰ぐ。10番でもバーディとして、12番パー5では再びイーグルパットがカップの直前で止まった。
2度のイーグルチャンスを逃したが12番を終えて4つ伸ばして、上位陣には十分に存在感を示していた。流れが変わったのは13番から14番に行く道中だ。リーダーボードが目に入り、首位のスコアが10アンダーで1打差まで迫っていることを確認してしまった。
「意外といけるのかなと思った」と、想像より上位が伸びておらず、すでに優勝争いの渦中にいることに気が付いた。“優勝”の二文字を意識させられると14番のティショットを右に曲げるなど、大事な終盤でこの日唯一のボギーを叩いた。続く15番でバウンスバックを決めたが、「最後4ホールは(バーディが)獲りやすいんですけど、1つしか取れなかったので…」と上り3ホールはパーに終わり上位をとらえることができなかった。
今年の「関西オープン」でプロ初優勝を遂げ、5月の「中日クラウンズ」、「ゴルフパートナー PRO-AM」でも優勝争いを演じたが、それ以来の優勝争い。「久々の優勝争いだったので緊張したなと思います。負けるのはすごく悔しいので、また優勝争いして勝ちたいです」。
アマチュアで挙げた2勝も「関西オープン」での勝利もリーダーボードを見ずに、自分が設定した目標スコアにまい進して圧倒的な強さを見せた。「ABEMA(ツアーでの)優勝も含めると4勝すべてボードは見ていない。リーダーボードは見ないのが一番いいのかなと思います」。最後まで手綱を緩めないことが蝉川の強さなのかもしれない。
ちなみに優勝した平田は2000年度生まれの同級生。プロ2勝目は先に挙げられた形だが、「予選ラウンド同組でしたけど、やっぱりうまいなって感じました。個人的にはまだ先は長いと思っているので、今年終わってみたら自分が上にいるというのが理想。それを目指していこうと思います」とシーズンを終えて頂点に立つことを目標とする。(文・小高拓)