<Sansan KBCオーガスタ 3日目◇24日◇芥屋ゴルフ倶楽部(福岡県)◇7274ヤード・パー72>
7バーディ・ボギーなしで「65」をマークした杉原大河(すぎはら・たいが)が、首位と5打差のトータル11アンダー・5位タイに浮上。好スコアの要因は“ネガティブ思考”にあった?
予選ラウンドの2日間は「71」、「69」とアンダーパーで回っていたが「きのうまで本当に(調子が)ひどくて…。『なんでアンダーパーが出るのかな』っていう感じだったんです(笑)。自分の思ったタイミングで当たらない」とスイングにズレを感じていたという。
不安を抱えながらの3日目だったが、フタを開けてみれば好プレーの連続だった。1番パー4でバーディ発進を決めると、4番からは3連続バーディを奪取した。ハイライトは難関の16番パー4。ティショットが大きく曲がり、林の中のベアグランドへ。スタンスがカート道にかかる難しい状況だったが、ピン3メートルにつけるスーパーショットでバーディ。ギャラリーも思わず目を丸くして、“驚打”を披露した24歳に惜しみない拍手を送った。
不調だと思われていたショットは、フェアウェイキープ率こそ50%にとどまったが、パーオンを逃したのはわずか1度だけ。「ホールを重ねていくうちに、自分のなかでリズムというか、いいものをつかめた。だんだん安定していった」と尻上がりに復調。「あすに繋がるいい終わり方」と納得の18ホールになった。
今季は12試合に出場して予選落ちが8度。賞金ランキングは61位と苦しい前半戦を過ごした。昨年も開幕から夏場まで予選カットが続き、一時はシード権獲得も危ぶまれていた。「この前半戦の下手さを自分でもどうにかしたいと思っている」と苦笑を見せる。
そんな“スロースターター”な性質とショット不調も相まって、この日のスタート前はネガティブ思考になっていた。「『どうせダメだろうな』と思いながら。欲張ることなく、ボギーが来ても驚かないでおこうって思っていたら、なんかバーディがポンポンポンって来て(笑)」。自分への期待をなくすことで力みが消えて、バーディラッシュにつながった。
トップとは5打差。この日のようなプレーができれば、逆転も不可能ではない。「緊張する位置ですが、とりあえず落ち着いて。リズムを忘れず、この後の練習でその感覚を自分のものにできればいいなと思います」。その名の通り、連日の“タイガーチャージ”でツアー初優勝をつかみとる。(文・高木彩音)