ゴルフのトーナメント会場は“ネタの宝庫”。ただ、そのすべてを伝えることはなかなか困難なこと…。そこで現場記者がコースを歩くなか“見た”、“聞いた”もののなかからちょっと気になった1つのテーマ、すなわち“ヒトネタ”をご紹介! 今回は「パナソニックオープン」が行われている有馬ロイヤルゴルフクラブ(兵庫県)から。
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最近のゴルフクラブはウエイトで重量を調整できる。そんな時代に外側に鉛をベッタリ張ってバランスを調整しているのが23歳の宇喜多飛翔だ。
キャディバッグには「たぶん200グラムぐらい」の鉛とウエイトが入った黒のポーチが常に“帯同”。「お守りのようなもの」というほど必要不可欠な存在だ。女性なら、化粧品など常に持ち歩きたいもの入れたポーチのようなものと言えば、わかりやすいだろう。いまでは“鉛といえば宇喜多”と男子ツアー界で言われるほどで、それを必要とする選手から声をかけられるほどらしい。
ツアー会場の練習日とプロアマ日には多くのメーカーがツアーバスとともに待機している。練習場やそのバス内などで担当者がクラブを調整するのはよく見かける場面だが、宇喜多はそれも自分で行うのだ。「ぼくの感覚ですが、内部だと本当にその重さが入っているのかわからない。外側に鉛を貼ることで、安心できるし、納得できる」と理由を明かす。
「自分で微調整ができる」というのも“DIY”の理由のひとつ。練習をしていて、少しでも違和感があれば、その場で調整をかける。「こだわりを話すとなったら時間が足りない(笑)」。ゴルフクラブへの思いはかなり強い。次は長い時間をかけて深くその“哲学”を聞きたいところだ。(文・高木彩音)