今季2勝を挙げて節目の通算20勝を達成した石川遼が、千葉県内で行われた所属事務所のイベントに出席し、取材に応じた。最終戦まで賞金王争いに加わったが、ランキング7位で17年目のシーズンは終了。米国男子ツアーの出場権をかけた予選会には2次から挑戦したが、18位タイで最終に進むことができなかった。
この1年間を振り返って「喜ぶところと喜べないところがはっきりとしたシーズンだった」と総括する。トップをコンパクトにしてシャローに入れるスイング改革を始めて5年目。その完成に大きく近づいた。パーオン率は70.27%で、昨年(69.144%)からやや改善された。「200ヤードのからのパーオン率とか、自分なりに(データを)取ったとき上がっている。埋めようとしていた再現性を出せるようになったり、確実に、自分が続けてきていることが数字につながっている」。
その一方で、最初の3年間は「ショット力を高めていくことをかなり最優先」したことで、アプローチやパットといったショートゲームの練習に費やす時間が減った。その配分を徐々に戻している段階でもある。「(ショートゲームが)足りなかったかなというのはある。開幕まであと3カ月あるので、この5年で練習量が減ったというところをカバーしていきたい」と、このオフに取り組みたいことを明かす。
12月には2次予選に出場した。今年度は10月2日時点で、ツアーキャリアで50試合以上予選ラウンドを通過した選手(石川は86試合)のカテゴリーでエントリー。「71」「68」を並べて予選通過圏内で折り返したが、最後の2日間は「74」「70」と伸ばしきれず。通過ラインに2打及ばなかった。「今年の集大成みたいなゴルフだった。いい部分も出たけれど、悪い部分も安定して出た」と、2度目の挑戦を淡々とした口調で振り返った。
「スイングを良くできてコンプレックスはなくせている状態。スイングにもクラブにも不満はない。打ちたいように打てているけれど、フォーカスが当たらなかった問題が浮き彫りになってきた。実はそれは新しくなくてずっと(自分の中に)いました、みたいな。自分のゲーム運びや些細な状況判断を底上げできれば」。米ツアー切符を獲得した金谷拓実、下部コーン・フェリーツアーに参戦する平田憲聖といった若き実力者たちとは“メンタル”の差も感じている。
「いつでもチャレンジしたい」と米ツアー再挑戦にも意欲的。そのためにも「覚悟」を持って2025年シーズンを過ごすつもりだ。「今年と同じようなシーズンだったらいいな…という感じだと厳しい。ここ2~3年で見た目(スイングなど)は変わったと思うけれど、中に眠っている本当の自分は結局変わっていない。アップデートして次に進めないといけない」と決意を新たにする。
来年はプロ18年目のシーズンになる。「長い戦いになりそうですけど、また1ミリも進めないではもうここには戻ってこられない。何らかの解決をするのが来年の目標。いまのスイングがあればという望みは正直持っているので、ここからは楽しみというか、正面から自分自身とぶつかっていくという気持ちでいます」。米再挑戦を視野に入れながら、己と向き合い続けるオフへと突入していく。(文・笠井あかり)