<ゴルフ日本シリーズJTカップ 事前情報◇27日◇東京よみうりCC(東京都)◇7002ヤード・パー70>
「日本シリーズが始まるな…という気持ちと、今年も終わるんだなっていう気持ちと、両方きている感じですね」。今年で15回目の出場となる賞金ランキング6位(8596万510円)の石川遼は、今季の締めくくりをしみじみと感じていた。
最終戦では15年ぶりの賞金王に輝くチャンスが残されている。同1位(1億1244万879円)の平田憲聖とは2648万369円差で、今大会の優勝賞金4000万円を獲得し、さらに平田が2位タイ以下であれば、逆転となる。だが、平田が単独2位で終えた場合は、優勝したとしても賞金王の座には届かない計算だ。
「僕に関しては自力ではない。だからこそ、変な邪念や雑念が入らずにプレーできる部分はある。特に優勝しても賞金王にならない可能性がある以上、ここまで来て『なりたい』と言っても遅いですから。正直、『間に合わなかったな』という感じはする」
賞金王のタイトルへの意識は薄いものの、6人が最終戦で王者争いを繰り広げる点については「すごく珍しいし、いいことだと思う。めちゃくちゃ楽しみ」と期待を隠せない。
今回のように最終戦で6人の選手が争うのは、1999年以降の記録ではツアー史上最多。これには石川も「年間を通して、高いクオリティでプレーする選手が増えてきた証拠だと思う。今の日本男子ゴルフ(の成長)を物語っているような状況じゃないかな」とツアーのレベルアップを実感している。
今大会で上位に入れば賞金ランクトップ3入りの可能性もあり、例年通りであれば2024-25シーズンのDPワールド(欧州)ツアー出場権を獲得することができる。ただし、昨年同2位の蝉川泰果は1試合、同3位の金谷拓実は2試合(メジャー除く)のみの出場にとどまったように、実際には限られた出場機会となる。それでも「チャンスがあれば出たい」と意欲を示した。
今月にツアー通算20勝目を挙げた石川だが、「自分はまだ成長の途中」とさらなる挑戦への意欲を語る。「機会があれば上のレベルの試合に出たいし、そこに行くための予選会にも挑戦したい。今できるベストを尽くして、ダメでも次のチャンスを目指す。毎年、常にトライしたい気持ちでいます」。
さらなる挑戦の舞台を広げるためにも、今週は重要な一週間となる。「ただ祈るような出たとこ勝負ではなく、しっかり準備したことと、自分がコントロールできることをやり続けることがキーになる」。来年、さらに多忙になることを見据え、この最終戦を冷静に、そして熱い思いで迎える。(文・高木彩音)