<三井住友VISA太平洋マスターズ 事前情報◇8日◇太平洋クラブ 御殿場コース(静岡県)◇7262ヤード・パー70>
昨シーズン、現役最年長の50歳で賞金シードを獲得した宮本勝昌が、ついにシードを失うかもしれない。今シーズンの獲得賞金は303万3513円で108位。今大会と次週の「ダンロップフェニックス」の2戦で900万円近く稼がないと、賞金シードの65位以内には入れない見込みだ。
1997年に初めて賞金シードを獲得してから、2度賞金シードに達しない年があったものの、優勝による複数年シードでつなぎながら、レギュラーツアーの出場権を26年間確保してきた。今年、賞金シードを獲れないと来季のレギュラーツアー出場権を失うが、『生涯獲得賞金ランキング上位25位以内』の資格を行使すれば、来年1年間はレギュラーに出場することができる。
宮本の現状を整理すると、レギュラーツアーに専念する選手に比べると少し複雑だ。今季の国内シニアツアーでは2勝を挙げて賞金ランキングトップに立っており、2位のプラヤド・マークセン(タイ)におよそ500万円差をつけている。
シニアツアーは次週の「すまいーだカップ シニアゴルフトーナメント」と最終戦の「いわさき白露シニア」の残り2戦。宮本は次週、レギュラーツアーの「ダンロップフェニックス」に出場するため、「すまいーだ」は欠場。その翌週はレギュラーのシード争いが決着する「カシオワールドオープン」には出ず、シニア最終戦に出場する予定となっている。レギュラーの賞金シードを取るか、シニアの賞金王を取るか、悩ましい立場ともいえる。
「周りの人たちからも『シニアの賞金王を狙えるね』なんて話を9月くらいからチラホラ言われていますね。シニアの賞金王もなれればなりたい、レギュラーのシードも獲りたい、アメリカのQTも頑張りたい、というのは夏くらいからずっと考えていた」
宮本は、米国シニアツアー、PGAツアー・チャンピオンズの来季の出場権を目指し、12月5日に開幕する「QTファイナルステージ」にエントリーを済ませている。『10月10日時点の日本シニアツアー賞金ランキング5位までの最上位者』の資格でQTファーストステージをスキップし、ファイナルから戦うことができるのだ。
「二兎を追う者は一兎も得られないかもしれないけど、三兎を追って三兎を獲るっていうのは今も変わらないですね」。レギュラーツアーは残り2戦で賞金シード獲得、シニアツアーは最後の一戦で賞金王獲得、米シニアのQTで出場権獲得と、3つすべてを狙っている。
ちなみに、宮本が欠場するシニアの「すまいーだ」の優勝賞金は1000万円で、最終戦の「いわさき白露シニア」の優勝賞金は1200万円のため、たとえ賞金ランク2位のマークセンや賞金ランキング3位の藤田寛之が、「すまいーだ」に勝ったとしても、「最終戦で優勝すれば賞金王になれる」。さらに「人に勝たれないためには自分が勝つしかない。シニアに関しては常に一戦必勝では臨んでいる」と語る。
「可能性がある限りは」とレギュラーツアーの賞金シードも諦めるつもりはない。「まず今週はトップ10に入るといのは考えています」。今大会の10位の賞金は524万円。次週の「ダンロップフェニックス」も賞金総額は同じ2億円のため、トップ10を2度続ければ、計算上は賞金シードに届くことになる。
レギュラーの賞金シード、シニアの賞金王、そして宮本にとって「今年の最大目標」はその先、米シニアツアーのQTを通過すること。「ゴルフの調子とかピークもそこに持っていきたい、まである」。レギュラー、シニア、米シニアQTの残り4戦。「なかなか先々までは苦手なので、一戦一戦を考えながら」。宮本の“三兎を追う”戦いは続いていく。(文・下村耕平)