<横浜ミナトChampionship ~Fujiki Centennial~ 最終目◇6日◇横浜カントリークラブ(神奈川県)◇7231ヤード・パー71>
トータル7アンダー・4位タイから最終日をスタートした蝉川泰果は、8バーディ・1ボギー・1ダブルボギーの「66」でプレー。優勝した中島啓太に1打及ばず単独の2位となった。最終組の1つ前から出た蝉川は、出だしの1番をバーディ発進すると、6番までに4つのバーディを重ね快調にスコアを伸ばす。
ところが1オンが狙える330ヤードの8番パー4で思わぬ落とし穴が待っていた。
「8番は距離的にも届くし、左右もそんなに狭いホールじゃないんでミスしないかなって思った」というティショットはドライバーを選択し1オンを狙うも、左に曲げて最悪のロストボール。痛恨のダブルボギーを打ってしまう。
万事休すかと思われたが、ここで終わらないのが蝉川の強さ。直後の9番パー4ですぐにバーディを奪うと、14、16、17番と3つのバーディで盛り返してみせ、終わってみればトップとは1打差という結果に。ゴルフにタラレバはない、というが、何とももったいない展開となってしまった。
「ホントもったいないミスがいっぱいあり過ぎた。決め切れなかった。反省点の多い内容だったんですけど、それ以上にバーディ数で補えた。他にもいいプレーはあったし、勝ち切りたかったので悔しいです」と、2週連続の2位となった結果に一定の満足を示しつつも、悔しさを吐露した。
あらためて8番のダブルボギーについて聞くと、「左のショートサイドのピンポジに対して狙いに行ったのがもったいなかったのかな、とは思ったりもするし、まぁ狙いにいってイーグルだったらもっとすごくいい展開で終われていたんじゃないかなとも思う。悔しいですけどやり切った感はあります」と、ミスした悔しさと、今も持てる力を出し切った、という2つの思いが交錯する。
ただ収穫もあった。「真っすぐ構えて真っすぐ打つっていうことが、だんだんできなくなってくる」と、プレッシャーのかかったときに自分がどういうミスをするのかが明確にわかったというのだ。ツアーを戦う上でとても重要なことで、これから必ず生きてくる。
また、「何かやりそう(ミスしそう)だなっていう、危機察知能力っていうのも、もっともっと試合の中でもいるなって思った」とこれからの課題も見つかった。優勝した同い年の中島に対しては「ずっと雲の上の存在だった中島選手でしたが、自分も同じ舞台に立てて正々堂々と戦えるところまできて、なおかつ今週は優勝争いできたんですけど…。そうですね、やっぱり勝ちたかったです」と話す。
「ダボを打ってしまったけど、前の自分だったら崩れていた。でもそこからまた巻き返して伸ばせたのは、上手くなっているというか強くなった部分です。でも、優勝したかったっていう気持ちはもちろんあるので、また練習ですね」。様々な思いを胸にしまい、最後はすっきりと気持ちを切り替えた。
男子ツアーは2週間のオープンウィークを挟み、次戦は24日から福岡での戦い「Sansan KBCオーガスタゴルフトーナメント」となる。今回の敗戦を糧に、ひと皮むけた蝉川。「次は負けたくない!」。きっぱりと言い切り会場を後にした。(文・土屋裕一)