<ANAオープン 3日目◇14日◇札幌ゴルフ倶楽部 輪厚コース(北海道)◇7066ヤード・パー72>
36歳の苦労人が悲願となる初優勝へ。永野竜太郎が3日目に1イーグル・4バーディ・1ボギーの「67」で回り、単独首位をキープした。
今大会は2年ぶり12回目の出場で、過去最高位は2017年の24位タイ。初日に叩き出した『64』は2014年の3日目以来となる、今大会における自己ベストストロークタイだった。 3日連続の60台をマークしているが、この大会で60台のラウンドはわずか3回しかなく、2日目には「うまくなったな」とおどけてみせるほど、波に乗りまくっている。
3日目は1番からスタートすると2番パー4、5番パー5でバーディ。さらに9番パー5ではセカンドを1メートルにつけてイーグルを奪取した。後半に入ると気温が下がって風も吹きだし、タフなコンディションへと変化していったが、さらに1つ伸ばし単独首位でホールアウトした。
フェアウェイキープ率は決して高くないものの「自分のアドバンテージである飛距離で少しでもグリーンの近くに飛ばせれば、ラフも短い番手で狙えますし、バーディチャンスにもつけられる」。36歳にしてドライビングディスタンスは296.18ヤードの22位とまだまだ“飛ばし”は健在。その持ち味を存分に生かしている。
悲願の初優勝に向けて残り一日。最終日に向けての意気込みをこう話す。「3日間うまくプレーできて、いい位置につけているのは間違いない。きょうも(他選手が)ビッグスコアを出しているので、自分も負けないぐらい伸ばしていかないとチャンスはつかめない。あすもこの3日間と変わらないようなプレーをしたいと思います」。
昨年はトップ5フィニッシュが5回あり、最終日最終組も2回経験したが、初優勝には手が届かなかった。21年の「パナソニックオープン」ではトップタイで最終日最終組を迎えるも、当時アマチュアであった中島啓太に敗れた。
最終日を単独トップで迎えるのは自身初。幾度となく苦い思いを味わってきた苦労人が雪辱を果たせるか。悲願達成へまたとないチャンスが訪れた。(文・齊藤啓介)