<バンテリン東海クラシック 最終日◇1日◇三好カントリー倶楽部 西コース(愛知県)◇7300ヤード・パー71>
今年の「日本アマ」を制した19歳・中野麟太朗が「68」とスコアを伸ばし、トータル5アンダーの18位タイでベストアマに輝いた。ベストアマは初めて予選通過を果たした1カ月前の「フジサンケイクラシック」(15位タイ)に続いて2戦連続の2度目。ツアーでのさらなる活躍に注目が集まるが、2週後の「日本オープン」以降は出場の予定はない。果たして。その理由とは?
2日目に続いて、ツアー屈指の難関パー3として知られる16番でバーディを奪うなど、アマ日本一の力を発揮した中野は「成長できていると感じています」とベストアマ獲得に満足そうな笑顔。今大会のスタッツはパーオン率が73.611%で1位タイ、ドライビングディスタンスは315.25ヤードで4位とショットのデータが際立った。
現在は早稲田大学スポーツ科学部の2年生。付属の明大中野高に通っていたため、そのまま明治大学に進む道やスカウトを受けたゴルフ強豪大学への進学という選択肢もあるなか、受験(AO入試)をして早稲田を選んだ。「高2の終わりからゴルフの成績が出るようになり、初めて大学の方から声を掛けていただいた時にどこに進学するかを真剣に考えるようになりました。大学で何を学びたいかと考えると、スポーツ科学だなと思って、それが一番進んでいるのが早稲田でした」。常に意識しているのは“文武両道”。中野の口からはこの言葉が何度も出てくる。
ただし、1年時はそれを貫けなかった。「大学って適当にやれば、単位をもらえるものだと勘違いして、そうしたら15単位ぐらい落としてしまい、ゴルフ部の監督にも怒られました」。遅れを取り戻すためにも今年は1つも単位を落とさない「フル単」が絶対の目標。「アジアパシフィックアマチュア」(26日~、オーストラリア)や大学の団体戦に出場することを考えると「フル単で行くにはもう休めません」。今後、ツアーの推薦の話が来ても断らざるを得ないという。
今季ツアー4試合に出場し、ラフからのアプローチのバリエーションに課題があると認識した。「アマチュアの試合ではここまでの深いラフはないので、ツアーに出て経験するしかないと思います」。ただし、その経験を積むのは来年までお預けだ。
単位を落としたことはともかく「高校時代から文武両道という意識でやって、ここまで来られたので、これが自分に合っているんだと思います。文武両道でも強くなれるんだということを示したい」。日本オープンがあるのに気が早いかもしれないが、さらに力をつけて来季のツアーに姿を見せるのを期待したい。(文・田中宏治)