25日に千葉県野田市のゴルフ場で取材に応じた石川遼にとっての、2024年はどんな一年だったのか? 今季は国内で2勝を挙げ節目の通算20勝目に到達。最終戦まで賞金王争いにも加わった。米国男子ツアーの来季出場権をかけた予選会(Qスクール)にも挑戦し、2次予選会で敗退した。
「よろこぶところとよろこべないところがはっきりとしたシーズンだった」と振り返る。そして“今年の漢字”を問われると、首を傾けながら熟考したあとに「人」と答えた。
「新しいマネージャーがついてくれたことも大きいし、キャディの佐藤(賢和)さんとは10年やってきていて一番頼って、悩みも打ち明けた。コーチをつけたとはいえ、自分で処理しないといけないと思っていることもあった。自分にとって必要な“人”の存在を、すごく感じた一年でしたね」
これまでは、何事も“自分一人で解決する”という意識が根付いていた。佐藤キャディにバッグを預け、2020年3月からは田中剛コーチに師事。今年の夏からは、2歳年下の新しいマネージャーとツアーを転戦している。その環境や関係性のなかで、自身の状況について「オープンに言語化できるようになった」という。コーチとキャディと石川で、プレーの詳細を言語化して共有しあい、自身の思考回路にも気付けるようになった。
「キャディさんに言う必要はないとか、自分で決めつけたりもしてきたけれど、今年は今までで一番話せた。『話したことで何か変わるのかな』と思っていたけれど、すごく変わったこともありましたね。どこかで自分が一番分かっているみたいなプライド、おごりがあった。最後は自分を信じるのが大事とはいえ、自分しか信じられないというのももろさなのかな。自分を信じることはいいことだけど、自分しか信じられないというのはまた違うのかな」と語った。
トップをコンパクトにしてシャロ―に入れるというスイング改造は完成に大きく近づいていると実感している。その一方で、「フォーカスが当たらなかった問題が浮き彫りになってきた。自分のゲーム運びや些細な状況判断を底上げできれば」と課題もある。来年も米予選会出場に意欲的。引き続き“人”とのつながりを大事にしながら、このオフにさらなるレベルアップを図る。(文・笠井あかり)