<フジサンケイクラシック 事前情報◇30日◇富士桜カントリー倶楽部(山梨県)◇7424ヤード・パー70>
24歳の桂川有人が4月の「ISPS HANDA 欧州・日本どっちが勝つかトーナメント!」以来、約4カ月ぶりに国内男子ツアーに出場する。今季は米下部のコーン・フェリーツアーを主戦場としており、前週も米アイダホ州で行われた「アルバートソンズ・ボイジーオープン」を戦っていた。現在同ツアーのポイントランキングでは128位につけている。
「懐かしい感じと、みんなでいるので楽しいですね(笑)」と久しぶりの日本の試合に自然と笑顔になる。ここまでの米国での戦いについては、「なかなか自分のイメージした通りにいかない」と苦戦しているが、「これも自分のゴルフストーリーの本で例えれば、まだプロになって3年目で何ページもいってないくらい最初のほうだと思う」と話す。
桂川は日大4年だった2020年にプロ転向。21年には下部のABEMAツアーで優勝、そしてレギュラーツアーにフル参戦した昨シーズンは、開幕戦でいきなりプレーオフに進んで2位に入り、3試合目の「ISPS HANDA 欧州・日本、とりあえず今年は日本トーナメント!」でツアー初優勝と、破竹の勢いで出世街道を歩んできた。
いままでが順調だっただけに、米国男子ツアーに昇格できるポイントランキング30位を目指して、コーン・フェリーツアーに参戦した今年は停滞しているようにも感じる。しかし本人は「アメリカの選手ですら一発で上がった選手は何人いるかって言われると少ないと思うので、一歩ずつ成長することが大事かなと思います」とまったく悲観していない。
今年のコーン・フェリーツアーは残り3試合。直近の2試合では、国内男子ツアーの20-21年シーズンの賞金王、チャン・キム(米国)が2連勝して、一気にポイントランキング2位まで浮上しており、現在同128位の桂川も30位圏内に入る可能性をわずかに残す。桂川の出場が確定しているのは再来週に開催される1試合のみだが「最後までいけるかは成績次第」と、3試合すべてに出るつもりで来週末には再び渡米する。たとえ今年の挑戦が終わっても、「QTに向けてやっていく」と来年もコーン・フェリーツアーで戦っていく覚悟だ。
そんな世界最高峰のPGAツアー出場を目指すゴルファーが切磋琢磨するツアーで、桂川が課題に感じているのはグリーン上。「みんなパッティングが上手で、最後はしっかりカップに沈めてくる。そこの力をもう少しつけられたらいいかなと思います」。練習日に桂川のバッグをのぞいてみると、4本のパターが入っており、試行錯誤を続けている。
大学時代からツノ型のエースパターを愛用し、昨年の優勝時にはオデッセイのツノ型『ホワイトホットOG #7』をバッグに入れていた。しかし、火曜日の練習日、水曜日のプロアマ戦ではブレード型パターを握る桂川の姿があった。今月のコーン・フェリーツアー2試合でも使っていたクリーブランド『FRONTLINE ELITE 1.0』(フロントラインエリート)だ。
この32.5インチのブレード型については「コロがりとタッチが自分のフィーリングとマッチしたので使い始めました。自分はしっかり打ちたいタイプで、このパターはコロがりが良いけど飛ばないので、打った通りにコロがってくれる」と気に入っている。
国内男子ツアーではオデッセイとスコッティ・キャメロンのパターを使う選手が大多数を占めるが、クリーブランドは珍しい。実は、昨季の国内女子ツアーの女王・山下美夢有も7月にフランスで行われた海外メジャー「アムンディ・エビアン選手権」、「AIG女子オープン」(全英女子)で桂川と同じシリーズのネオマレット型『FRONTLINE ELITE RHO』を投入し、「タッチが合っている」と話している。
4カ月ぶりの日本でのプレーには「しっかり上位争いして、ファンの皆さんにアピールできたら」と意気込んだ桂川。速く仕上がったグリーン上で好感触を得て、米国に戻りたい。(文・下村耕平)