<横浜ミナトChampionship ~Fujiki Centennial~ 3日目◇10日◇横浜カントリークラブ(神奈川県)◇7207ヤード・パー71>
稲森佑貴は2日目に感じたアイアンショット、パターの違和感を残したまま3日目のコースに飛び出した。スタートの10番、そして14番と序盤でバーディを積み上げながら、16番でトリプルボギーを叩いた姿を見ても、“好不調”が入り交ざっていたことが伝わってくる。
ここ横浜カントリークラブは、2018年10月の「日本オープン」でツアー初優勝を挙げた思い出のコースだ。この日のフェアウェイキープ率は93.333%で全体2位タイと「日本一曲がらない男」は健在だったが、風に苦しむ一日でもあった。
「とりあえず縦距離だけ間違わないように」と、グリーンが軟らかく止まるとわかっていたこの日は、風の影響を受けないよう低めの球を打つことを意識。順調だったが「1ホールだけやられました」と振り返るのは16番パー4でのアクシデント。フェアウェイ右サイドから打った2打目がブッシュのなかへ入り、痛恨のトリプルボギーを叩いた。
バックナインは「過去のよかったときの自分のイメージを思い出しながらやったら、それがバチっとはまった」と4バーディの巻き返しを見せ、42位からスタートした一日を、トータル7アンダーの20位タイまで順位を上げて終えた。「昨日(2日目)は悪いイメージをリセットしよう」とあえて練習場へ行かなかったことも好スコアの要因のひとつだ。
3日目の朝に繰り出した“秘策”も、その背中を押した。稲森は朝一の練習用と試合で使うパターを使い分けている。昨年の優勝時に再登板した“エース”オデッセイのセンターシャフト『ストロークラボTEN』に替え、7月の「日本プロゴルフ選手権」から朝の練習用で使用していた同ブランドの『ジェイルバードミニ』を3日目から試合に初投入した。すると初日49位、2日目が86位だった平均パット数が16位まで浮上。「結果的にチェンジしてよかった」とすぐに効果を実感できた。
「いいイメージのまま帰ろうかな。まだ中途半端な位置ですけど、あくまで体力温存のために」と、この日のラウンド後も練習場には足を運ばなかった。「過去にもこの手法で上位に食い込んだ経験もあるので」。この“ゲン担ぎ”も、最終日のさらなる上昇につなげていく。(文・小池文子)