国内屈指の難コースとして知られる小樽カントリー倶楽部で開催された「ニトリレディス」を制したのは、今季絶好調のアン・ソンジュ(韓国)。今季4勝目で通算27勝目。その圧倒的な強さの源にあるのは確かな技術力に裏打ちされた“ある力”だ。上田桃子らを指導する辻村明志コーチに詳しく聞いてみた。
【写真】ニトリレディス直後の日本女子オープン最終予選会から貴重なフォト集
■3日目の時点で優勝を予感させたソンジュのガマン強さ
大会4日間すべてでオーバーパーを打つことなく勝利を飾ったソンジュ。オーバーパーのラウンドゼロはソンジュただ1人。抜群の安定感が今季4勝目をもたらした。「雨のせいでグリーンが軟らかく、ボールが止まりやすいというのもありましたし、例年よりもラフが深くなかったというのを差し引いても、そこは小樽。海風の影響をもろに受けた決勝ラウンドは難しくなりました」と話す辻村氏。特に3日目は決勝ラウンドに進出した63人の平均スコアが「75.5873」。アンダーパーはわずか5人でベストスコアが2アンダー。ソンジュは1アンダーで回った。「ソンジュさん優勝の大きなポイントは3日目です。みんなスコアを落とすのが分かっていたのでしょう。その中でガマンできるのが強みです。15番でボギー、16番でダブルボギーをたたいても、17番をバーディとしました。そういうところがほかの選手と違うところですね。勝ちにいっているなと感じさせたラウンドでした」と辻村氏はいう。
■最終日のスタート前練習でキャディを驚かせたソンジュのマネジメント
今季4勝目だが、特筆すべき点がもう1つ。4月に優勝を飾った。「ヤマハレディースオープン葛城」が行われた葛城ゴルフ倶楽部は今回の小樽と並んでツアー屈指の難コース。「この2つで勝てるというのがソンジュ選手の強さを表しています」と、ハードな状況になればなるほど、地力の差が出るという。ただそれだけではない。「確かな技術力は当然ですが、それを引き立たせるマネジメント能力も人並み以上に優れているのです」と辻村氏。今回、ソンジュのバッグを担いでいた保科隆氏は、葛城でもバッグ担いでいるが、「ソンジュ選手は本当にスゴイ」(保科氏)と、1番身近で見ているからこその「秘話を明かしてくれました」と辻村氏がいう。「ニトリの最終日の朝、ソンジュ選手が練習場でボールを打っているとき、ショットを打ちながら保科さんに聞いてきたことがあるそうです。『今日のピン位置を1番から18番まで全部言っていってください』と。あらためて聞くわけでなく、ショットを打ちながら聞いていたそうです。そういう質問は、はじめてだったそうです」。練習に没頭するだけでなく、「何が大事かという優先順位かが分かっています」と、準備段階も含め、あらためて総合力での勝利だったことを強調する。
■イメージを組み立てて実行に移す、今年はビッグタイトルが近い
「ピンの位置をイメージして、どこに打つべきか、どこに打ってはいけないのかを決めるのはほかの選手も同じでしょうが、それを実行できるのがソンジュ選手。小樽はボールコントロールとスピンコントロールが大事。風に対してどういうスピンをかけていくかも求められます。ドライバーの安定性を示すトータルドライビングやサンドセーブ率、リカバリー率などで1位。すべてがまとまっています」。これだけうまくて、ゴルフ脳も伴えば今季さらに勝ち星を積み上げる可能性も十分にある。「完全に賞金女王を狙える状態ですし、あと3勝に迫った永久シードも狙っているのではないでしょうか」。
■クラブの軌道が変わってきた渡邉彩香がスランプ脱出
長いスランプ期間を乗り越えて、渡邉彩香が2位に入り、復活を予感させた。テークバックの際に手でクラブを上げてしまうことがあった渡邉だったが、「手だけで上げるのではなく、十分に左肩を回しながら、クラブを上げていました。手を先行させて上げてしまうと手が先に下りてしまいやすく、クラブがアウトサイドから下りやすくなりますが、しっかりとインサイドから下りて体の近くを通っているため、パワーがたまってボールが暴れずに飛距離も出ています」と辻村氏は渡邉の進化を説明する。「つま先の向きを見ると、かなり左を向いていますが、だからこそ、飛球線に対して体をスクエアに向けるには体を回さないといけない。方法は別にして、そうすることで、結果的にクラブの軌道が良くなったのでしょう」。
「曲げそう」と思ったホールではミドルアイアンで刻むなど、考え方も変わってきた渡邉。「ラッキーだけで4日間やって2位に入ることはできません。自分にきつくきつくしてしまうとスランプに陥りやすい。レイアップの考え方もいいですね。いい方向にいっているのでしょうし、自信にもなっているでしょう」(辻村氏)。
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■3日目の時点で優勝を予感させたソンジュのガマン強さ
大会4日間すべてでオーバーパーを打つことなく勝利を飾ったソンジュ。オーバーパーのラウンドゼロはソンジュただ1人。抜群の安定感が今季4勝目をもたらした。「雨のせいでグリーンが軟らかく、ボールが止まりやすいというのもありましたし、例年よりもラフが深くなかったというのを差し引いても、そこは小樽。海風の影響をもろに受けた決勝ラウンドは難しくなりました」と話す辻村氏。特に3日目は決勝ラウンドに進出した63人の平均スコアが「75.5873」。アンダーパーはわずか5人でベストスコアが2アンダー。ソンジュは1アンダーで回った。「ソンジュさん優勝の大きなポイントは3日目です。みんなスコアを落とすのが分かっていたのでしょう。その中でガマンできるのが強みです。15番でボギー、16番でダブルボギーをたたいても、17番をバーディとしました。そういうところがほかの選手と違うところですね。勝ちにいっているなと感じさせたラウンドでした」と辻村氏はいう。
■最終日のスタート前練習でキャディを驚かせたソンジュのマネジメント
今季4勝目だが、特筆すべき点がもう1つ。4月に優勝を飾った。「ヤマハレディースオープン葛城」が行われた葛城ゴルフ倶楽部は今回の小樽と並んでツアー屈指の難コース。「この2つで勝てるというのがソンジュ選手の強さを表しています」と、ハードな状況になればなるほど、地力の差が出るという。ただそれだけではない。「確かな技術力は当然ですが、それを引き立たせるマネジメント能力も人並み以上に優れているのです」と辻村氏。今回、ソンジュのバッグを担いでいた保科隆氏は、葛城でもバッグ担いでいるが、「ソンジュ選手は本当にスゴイ」(保科氏)と、1番身近で見ているからこその「秘話を明かしてくれました」と辻村氏がいう。「ニトリの最終日の朝、ソンジュ選手が練習場でボールを打っているとき、ショットを打ちながら保科さんに聞いてきたことがあるそうです。『今日のピン位置を1番から18番まで全部言っていってください』と。あらためて聞くわけでなく、ショットを打ちながら聞いていたそうです。そういう質問は、はじめてだったそうです」。練習に没頭するだけでなく、「何が大事かという優先順位かが分かっています」と、準備段階も含め、あらためて総合力での勝利だったことを強調する。
■イメージを組み立てて実行に移す、今年はビッグタイトルが近い
「ピンの位置をイメージして、どこに打つべきか、どこに打ってはいけないのかを決めるのはほかの選手も同じでしょうが、それを実行できるのがソンジュ選手。小樽はボールコントロールとスピンコントロールが大事。風に対してどういうスピンをかけていくかも求められます。ドライバーの安定性を示すトータルドライビングやサンドセーブ率、リカバリー率などで1位。すべてがまとまっています」。これだけうまくて、ゴルフ脳も伴えば今季さらに勝ち星を積み上げる可能性も十分にある。「完全に賞金女王を狙える状態ですし、あと3勝に迫った永久シードも狙っているのではないでしょうか」。
■クラブの軌道が変わってきた渡邉彩香がスランプ脱出
長いスランプ期間を乗り越えて、渡邉彩香が2位に入り、復活を予感させた。テークバックの際に手でクラブを上げてしまうことがあった渡邉だったが、「手だけで上げるのではなく、十分に左肩を回しながら、クラブを上げていました。手を先行させて上げてしまうと手が先に下りてしまいやすく、クラブがアウトサイドから下りやすくなりますが、しっかりとインサイドから下りて体の近くを通っているため、パワーがたまってボールが暴れずに飛距離も出ています」と辻村氏は渡邉の進化を説明する。「つま先の向きを見ると、かなり左を向いていますが、だからこそ、飛球線に対して体をスクエアに向けるには体を回さないといけない。方法は別にして、そうすることで、結果的にクラブの軌道が良くなったのでしょう」。
「曲げそう」と思ったホールではミドルアイアンで刻むなど、考え方も変わってきた渡邉。「ラッキーだけで4日間やって2位に入ることはできません。自分にきつくきつくしてしまうとスランプに陥りやすい。レイアップの考え方もいいですね。いい方向にいっているのでしょうし、自信にもなっているでしょう」(辻村氏)。