「もちろん長身であることも高さを出せる要因の一つですが、スイングを常に体の前でできている。ボールにできるだけ近寄って、アップライトに上げて下ろしてくる。このあたりは同じようにフェアウェイキープ率が高く、球の高さが出せる申ジエさんと同じです。手元が常に体の正面にあるため、クラブが外回りせずオンプレーンで縦に下りてくる」。ボールと体が近いため、腕の動く範囲が限られてクラブの通り道が一つになる。それを利用して再現性を高めつつ、クラブが縦に下りてくるから縦回転のスピンをかけることができ、高さも出すことができるのである。

インパクト以降もぜひ参考にしたい。「ダウンスイングからインパクト、フォロースルーにかけて左肩、左腰、左足と左サイドが一切左方向に流れていない。それでいてヘッドはターゲット方向にちゃんと出せている。野球でいえばまさに“センター返し”。フェアウェイキープというのはそういうこと。私も上田さんを教えるときに“センター前に打つ感覚だぞ！”と教えるときがあるくらいですから」。

ここまでできれば綺麗なフィニッシュが見えてくる。「チェヨンさんのフィニッシュはまさに自然体です。スッと立ってクラブが体に巻き付いている。だけど、どこにも力が入っていません。まさに100点の形です。タイミングのズレなどどこかで狂いが生じれば、それらは全てフィニッシュに現れる。ボールが曲がる人はフィニッシュも悪い。なぜならインパクト後に真っすぐ飛ばそうと修正しようとするからです。ぜび、この立ち姿を目標にやってみてください」。

解説・辻村明志（つじむら・はるゆき）/1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとしてチャレンジツアー最高位2位などの成績を残し、2001年のアジアツアーQTでは3位に入り、翌年のアジアツアーにフル参戦した。転身後はツアー帯同コーチとして上田桃子、小祝さくらなどを指導。様々な女子プロのスイングの特徴を分析し、コーチングに活かしている。プロゴルファーの辻村明須香は実妹。ツアー会場の愛称は“おにぃ”。