痛みに耐える一日だった。2日目を終え、午後11時30分に床に就いた上田を、突然の異変が襲った。「眠ってからすぐに、右手中指に激痛が走って、それで目覚めました。毒で刺されたんじゃないかという痛みでした」。朝になっても痛みがひかず、朝食の時間なども治療にあてた。できないかもしれない、とメイクもせずに会場入り。早朝のショット練習も20球程度で切り上げざるを得ないほどの痛み。「せっかくいいところで回れるのに、なんでこんな時に」。不運をなげきそうにもなった。
しかし、スイングをコントロールする左手ではなかったことが、不幸中の幸いだった。「これまでスイングの時、下半身を意識してやっていたから、右手が痛くてもいけるのではないか」と出場を決断。辻村明志コーチからは、「スイングの時に右手はいらないことを証明してこい!」という言葉で送り出された。その痛みがあっただけに、今回の優勝に「まさか」という思いを抱いたのだ。
これまで尊敬する谷口徹らから、「何ごともガマン」と言われてきた上田は、今オフ、そのガマンをテーマに掲げた。アプローチ、パターの練習を何度も何度も“ガマン”して続け、プレーがうまくいかず落ち込みそうな時もやはり“ガマン”。常にその言葉を頭に思い浮かべ、練習に打ち込んだ。
「これまでは、ガマンができなくて勝てなかった試合が多かった。まだコーチには『70点か80点くらいだな』と言われますが、とにかくガマンすることを意識しました」
この日は痛み、そしてスコアを落とす展開のなか、まさにガマンのプレーを見せた。「今年の目標は“心・技・体”。今日の優勝はラッキーなだけで、まだその3つが私は整っていない。これが整った時の景色が見てみたい」。自らが目指す自分にはまだ至っていない。それでも2017年「NOBUTA GROUP マスターズGCレディース」以来となる今回の優勝は、掲げたテーマを象徴したような勝利となった。(文・間宮輝憲)
しかし、スイングをコントロールする左手ではなかったことが、不幸中の幸いだった。「これまでスイングの時、下半身を意識してやっていたから、右手が痛くてもいけるのではないか」と出場を決断。辻村明志コーチからは、「スイングの時に右手はいらないことを証明してこい!」という言葉で送り出された。その痛みがあっただけに、今回の優勝に「まさか」という思いを抱いたのだ。
これまで尊敬する谷口徹らから、「何ごともガマン」と言われてきた上田は、今オフ、そのガマンをテーマに掲げた。アプローチ、パターの練習を何度も何度も“ガマン”して続け、プレーがうまくいかず落ち込みそうな時もやはり“ガマン”。常にその言葉を頭に思い浮かべ、練習に打ち込んだ。
「これまでは、ガマンができなくて勝てなかった試合が多かった。まだコーチには『70点か80点くらいだな』と言われますが、とにかくガマンすることを意識しました」
この日は痛み、そしてスコアを落とす展開のなか、まさにガマンのプレーを見せた。「今年の目標は“心・技・体”。今日の優勝はラッキーなだけで、まだその3つが私は整っていない。これが整った時の景色が見てみたい」。自らが目指す自分にはまだ至っていない。それでも2017年「NOBUTA GROUP マスターズGCレディース」以来となる今回の優勝は、掲げたテーマを象徴したような勝利となった。(文・間宮輝憲)