■フィニッシュで反動が出るほどの勢い 秘訣は切り返しにあり
ショットの面でも辻村氏は賛辞を惜しまない。「スイングにキレがありますね。振り切れていて見ていて気持ちいいです」。それが分かるのがフィニッシュ。「女子プロはフィニッシュでピタッと止まる選手が多いですが、彼女は振り切った勢いの反動で、自分の前までクラブが戻ってきています。これは自分の体をフルに使えているからできること」。ドライビングディスタンスは18位。小気味いいだけでなく、しっかりと飛距離も出ている。
このフィニッシュを生み出しているのが、切り返しからダウンスイングにかけての動きだと解説する。「力強く振れる秘訣は、渋野さんの切り返しからの動きにあります。まず、軸がしっかりあって、頭が左右にぶれていません。そして左肩は開かず、右肩が前に出てくることもない。そしてクラブのヘッドがしっかりと頭の後ろにある。このポジションは上体や腕を使って切り返したり、リキみがあったら絶対にできません。フィル・ミケルソンやセルヒオ・ガルシアのようです。これだけヘッドを効かせられる状態をつくれたら、フィニッシュで止まらず反動で戻ってくるのもうなずけます。この切り返しは満点に近い。アマチュアのみなさんにもトップの左腕のラインとシャフトの角度、そして切り返しで腕とシャフトの角度がほどけずためがつくれているところをマネしてもらいたいですね」。下半身主導で切り返せているからこそのポジションだと絶賛した。
もうひとつ、辻村氏が注目したのがアドレス。渋野は腕を伸ばした時にヒジが極端に外側に曲がっている。細身で若い女性に多いこの腕では、ヒジを突っ張って構えてスイングするとクラブの抜けどころがなくなり、振り抜きの悪いスイングになってしまう。その工夫がアドレスからあるという。
「渋野さんはヒジが外側に出ているので、腕を伸ばしたハンドダウンで構えますが、背中が一切丸まっていません。姿勢がいい。だから重心の低い構えになります。姿勢の悪いハンドダウンの構えでは重心が低くなりません。背中が丸まっていないから最後まで重心を低く保てているんです。また、しっかりと手の先まで気が通っています。だから腕を伸ばしたスイングでも途中で腕が緩むことがありません。三角形が崩れないんです」
また、新たに現れた黄金世代のスター候補。シード獲得、そして初優勝する日も遠くはなさそうだ。
解説・辻村明志(つじむら・はるゆき)/1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとしてチャレンジツアー最高位2位などの成績を残し、2001年のアジアツアーQTでは3位に入り、翌年のアジアツアーにフル参戦した。転身後はツアー帯同コーチとして上田桃子、山村彩恵、藤崎莉歩、松森彩夏、永井花奈、小祝さくらなどを指導。様々な女子プロのスイングの特徴を分析し、コーチングに活かしている。プロゴルファーの辻村明須香は実妹。ツアー会場の愛称は“おにぃ”。
ショットの面でも辻村氏は賛辞を惜しまない。「スイングにキレがありますね。振り切れていて見ていて気持ちいいです」。それが分かるのがフィニッシュ。「女子プロはフィニッシュでピタッと止まる選手が多いですが、彼女は振り切った勢いの反動で、自分の前までクラブが戻ってきています。これは自分の体をフルに使えているからできること」。ドライビングディスタンスは18位。小気味いいだけでなく、しっかりと飛距離も出ている。
このフィニッシュを生み出しているのが、切り返しからダウンスイングにかけての動きだと解説する。「力強く振れる秘訣は、渋野さんの切り返しからの動きにあります。まず、軸がしっかりあって、頭が左右にぶれていません。そして左肩は開かず、右肩が前に出てくることもない。そしてクラブのヘッドがしっかりと頭の後ろにある。このポジションは上体や腕を使って切り返したり、リキみがあったら絶対にできません。フィル・ミケルソンやセルヒオ・ガルシアのようです。これだけヘッドを効かせられる状態をつくれたら、フィニッシュで止まらず反動で戻ってくるのもうなずけます。この切り返しは満点に近い。アマチュアのみなさんにもトップの左腕のラインとシャフトの角度、そして切り返しで腕とシャフトの角度がほどけずためがつくれているところをマネしてもらいたいですね」。下半身主導で切り返せているからこそのポジションだと絶賛した。
もうひとつ、辻村氏が注目したのがアドレス。渋野は腕を伸ばした時にヒジが極端に外側に曲がっている。細身で若い女性に多いこの腕では、ヒジを突っ張って構えてスイングするとクラブの抜けどころがなくなり、振り抜きの悪いスイングになってしまう。その工夫がアドレスからあるという。
「渋野さんはヒジが外側に出ているので、腕を伸ばしたハンドダウンで構えますが、背中が一切丸まっていません。姿勢がいい。だから重心の低い構えになります。姿勢の悪いハンドダウンの構えでは重心が低くなりません。背中が丸まっていないから最後まで重心を低く保てているんです。また、しっかりと手の先まで気が通っています。だから腕を伸ばしたスイングでも途中で腕が緩むことがありません。三角形が崩れないんです」
また、新たに現れた黄金世代のスター候補。シード獲得、そして初優勝する日も遠くはなさそうだ。
解説・辻村明志(つじむら・はるゆき)/1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとしてチャレンジツアー最高位2位などの成績を残し、2001年のアジアツアーQTでは3位に入り、翌年のアジアツアーにフル参戦した。転身後はツアー帯同コーチとして上田桃子、山村彩恵、藤崎莉歩、松森彩夏、永井花奈、小祝さくらなどを指導。様々な女子プロのスイングの特徴を分析し、コーチングに活かしている。プロゴルファーの辻村明須香は実妹。ツアー会場の愛称は“おにぃ”。