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目の前に敵がいるのは嫌いじゃない 原英莉花が師匠譲りの気合いで実力者振り切り初V

目の前に敵がいるのは嫌いじゃない 原英莉花が師匠譲りの気合いで実力者振り切り初V

所属 ALBA Net編集部
秋田 義和 / Yoshikazu Akita

配信日時:2019年6月2日 17時55分

それでも原は冷静だった。ソンウのパッティングは「私なら入れるのは不可能」というものだったが、「入れてくる心構えはできていました」と次のホールに行く気持ちの準備はできていた。

18番(パー4)と15番(パー3)を繰り返す変則プレーオフの2ホール目。次の15番では先に打った原が2mにつけると、次のソンウも負けじと4mにつけてくる。しかし、ソンウのバーディパットは決まらず。「ソンウさんのパットは私の打つパットの対角線上でカップ際は結構切れていました。切れるか切れないか。迷いはありましたが、絶対強く打とうと思って(ラインを消して)薄く読んで打ちました」。覚悟を決めたこの一打をねじ込み、右手を天に突き上げて歓喜の瞬間に酔いしれた。

プレーオフになった時点で自信はあった。「目の前に敵がいるのは嫌いじゃない」というのはハッタリでも自分を奮い立たせるためでもない。プレーオフの経験はないが、去年出場した日本選抜VSタイ選抜の対抗戦「第一回アマタフレンドシップカップ」のマッチプレーではタイの実力者たち相手に4戦4勝。さらにはゴルフ番組で行われたマッチプレーでも競り勝っていた。だからこそ、18番が終わった時点でキャディに「私、プレーオフ強いから」と確信を持って勝利宣言したのだ。

表彰式が行われる18番グリーンまで移動する間、「おめでとう!」と大歓声に包まれた。この声援に手を上げて応えていた原だが、次第に込み上げてくるものが。「“おめでとう”といわれて鳥肌が立つとともに涙が出てきて…」と、自分でもいつ以来か思い出すのが難しいくらいの涙が頬を伝った。

いつも師匠に「まだまだだな」と愛情混じりに厳しい言葉を投げかけられていたが、ようやく掴んだ初勝利。お褒めの言葉がいただけると思いきや、会場に届いた言葉は「ラッキーで勝つことはある。大事なのは2勝目を捉えにいくこと」と、単純な祝福ではなかった。「それはそうなのかもしれないので」とちょっぴり苦笑いも、「スキップしながら“勝ちました〜”って報告に行きたいですね」とニヤリ。やはり、この20歳。ただ者ではない。(文・秋田義和)

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