<サマンサタバサ ガールズコレクション・レディース 最終日◇21日◇イーグルポイントゴルフクラブ(茨城県)◇6588ヤード・パー72>
これまで2位となること4回。シルバーコレクターとも呼ばれた21歳に、ようやくその時が訪れた。「サマンサタバサ レディース」最終日、今年の開幕前から“最も優勝に近い”黄金世代と呼ばれ続けた小祝さくらがついに栄冠を手にした。
小祝さくらのモグモグタイム!【写真】
首位のイ・ミニョン(韓国)を2打差で追いかける最終日。ツアー屈指の実力者相手に、前日には「優勝争いするのは心の中では嫌です」と本音をこぼす場面も。そんな2人の戦いは早々にマッチレースの様相となった。
小祝が1番、3番とポンポンとバーディを奪い追いつくと、バーディの応酬で前半が終わるころにはミニョンが15アンダー、小祝が14アンダー。その下は10アンダーとまさに一騎打ちのままインコースへと突入した。
ハーフターンのインターバルなしで迎えた、サンデーバックナインの1ホール目で一気に形成が逆転する。小祝が4mにつけるなか、ミニョンは2打目を左に引っかけて13mを残す。すると小祝はこれをねじ込むが、ミニョンはまさかの3パット。順位がひっくり返る。
だが、ただでは勝たせてくれないのがツアー3年目で4勝の実力者。次の11番を共にバーディとすると、小祝が13番で4mを沈めて2打差とするが、すかさずミニョンが14番でバーディ。1打差で迎えた17番ではミニョンはティショットを左の林に入れてパーオンできず残り70ヤードに出すだけとなるが、これをピタリと寄せてパーセーブ。小祝はバーディパットがわずか5cm届かず。1打差で最終ホールへと向かう。
「ああいう状況でパーを獲ってくる。プレッシャーになる」と重圧を受けながらも迎えた18番。ミニョンが10mを決められず先にパーとすると、小祝も8mを残したがバーディパットをタップインの距離まで寄せて、ウィニングパットをねじ込み歓喜の瞬間を迎えた。
今までの優勝争いと違ったのは気持ちの部分。とにかく強く持った。「前日に(コーチの)辻村プロと電話で話して、勝つには“自分が優勝すると思ってプレーしないとダメ”と言われました。自分でもそれを目標として頑張れた」。待っていても栄冠には届かない。自らの力で掴みにいった。
そのための目標も立てた。「アウトで4つ、インで3つ伸ばす」。この日のプレーはまさにその通りの7バーディ・ノーボギー。「今日はそのことしか考えていませんでした。今まで相手のことが気になっていましたが、7アンダーを出して負けたら仕方ないと思ってやりました」。昨年の「ゴルフ5レディス」では優勝争いを演じた申ジエ(韓国)のことを考えないようにしようとしても、どうしても頭をよぎった。その反省を生かした。
またミスが早々に来たのも運があった。2番で5mの上りのバーディパットを80cmショート。「切れるラインじゃないのでチャンスでした。なのにショートしてしまいました。そういうプレーをすれば相手にスキを与える。そこからはカップに届かせることを意識するようになった」。そんな、これまで課題としていたパッティングが優勝へと導いた。「開幕してからずっと調子が悪いと思っていたのですが、悪く思いすぎてもダメだなと。それにこれまでの優勝争いでは、ワンピンにつけても外れるんじゃないかという気持ちもあった。そういう気持ちは今日はなかった」。ことごとくチャンスを沈めて、ひたすらミニョンにプレッシャーをかけた。
何よりも好敵手の存在が、力を最大級に引き出した。「ミニョンさんもすごくいいプレーをしていて。ずっと1とか2打差だったので気を抜けなかった。とにかく目の前のプレーに集中しました。最後までお互いにいいプレーができて良かった」。互いに譲れないなかでマックスに達した集中力。名勝負はトーナメントコースレコードとなるトータル17アンダーという数字となって表れた。ちなみにミニョンのトータル16アンダーはタイ記録。3位の成田美寿々と三ヶ島かながトータル10アンダーだから、いかに2人が互いに切磋琢磨して競り合ったかが分かる。
これで黄金世代8人目の優勝。次なる目標は黄金世代で4人目となる「2勝目」だ。「2つ目を勝つ壁が大きいと聞くので少しでも早くしたいですね。そして北海道で勝ちたいという気持ちも強いです。そこに向かって頑張りたい」。“最も優勝に近い”と言われ続けてようやく掴んだ初タイトル。ここからは一気に積み上げていきたい。(文・秋田義和)
これまで2位となること4回。シルバーコレクターとも呼ばれた21歳に、ようやくその時が訪れた。「サマンサタバサ レディース」最終日、今年の開幕前から“最も優勝に近い”黄金世代と呼ばれ続けた小祝さくらがついに栄冠を手にした。
小祝さくらのモグモグタイム!【写真】
首位のイ・ミニョン(韓国)を2打差で追いかける最終日。ツアー屈指の実力者相手に、前日には「優勝争いするのは心の中では嫌です」と本音をこぼす場面も。そんな2人の戦いは早々にマッチレースの様相となった。
小祝が1番、3番とポンポンとバーディを奪い追いつくと、バーディの応酬で前半が終わるころにはミニョンが15アンダー、小祝が14アンダー。その下は10アンダーとまさに一騎打ちのままインコースへと突入した。
ハーフターンのインターバルなしで迎えた、サンデーバックナインの1ホール目で一気に形成が逆転する。小祝が4mにつけるなか、ミニョンは2打目を左に引っかけて13mを残す。すると小祝はこれをねじ込むが、ミニョンはまさかの3パット。順位がひっくり返る。
だが、ただでは勝たせてくれないのがツアー3年目で4勝の実力者。次の11番を共にバーディとすると、小祝が13番で4mを沈めて2打差とするが、すかさずミニョンが14番でバーディ。1打差で迎えた17番ではミニョンはティショットを左の林に入れてパーオンできず残り70ヤードに出すだけとなるが、これをピタリと寄せてパーセーブ。小祝はバーディパットがわずか5cm届かず。1打差で最終ホールへと向かう。
「ああいう状況でパーを獲ってくる。プレッシャーになる」と重圧を受けながらも迎えた18番。ミニョンが10mを決められず先にパーとすると、小祝も8mを残したがバーディパットをタップインの距離まで寄せて、ウィニングパットをねじ込み歓喜の瞬間を迎えた。
今までの優勝争いと違ったのは気持ちの部分。とにかく強く持った。「前日に(コーチの)辻村プロと電話で話して、勝つには“自分が優勝すると思ってプレーしないとダメ”と言われました。自分でもそれを目標として頑張れた」。待っていても栄冠には届かない。自らの力で掴みにいった。
そのための目標も立てた。「アウトで4つ、インで3つ伸ばす」。この日のプレーはまさにその通りの7バーディ・ノーボギー。「今日はそのことしか考えていませんでした。今まで相手のことが気になっていましたが、7アンダーを出して負けたら仕方ないと思ってやりました」。昨年の「ゴルフ5レディス」では優勝争いを演じた申ジエ(韓国)のことを考えないようにしようとしても、どうしても頭をよぎった。その反省を生かした。
またミスが早々に来たのも運があった。2番で5mの上りのバーディパットを80cmショート。「切れるラインじゃないのでチャンスでした。なのにショートしてしまいました。そういうプレーをすれば相手にスキを与える。そこからはカップに届かせることを意識するようになった」。そんな、これまで課題としていたパッティングが優勝へと導いた。「開幕してからずっと調子が悪いと思っていたのですが、悪く思いすぎてもダメだなと。それにこれまでの優勝争いでは、ワンピンにつけても外れるんじゃないかという気持ちもあった。そういう気持ちは今日はなかった」。ことごとくチャンスを沈めて、ひたすらミニョンにプレッシャーをかけた。
何よりも好敵手の存在が、力を最大級に引き出した。「ミニョンさんもすごくいいプレーをしていて。ずっと1とか2打差だったので気を抜けなかった。とにかく目の前のプレーに集中しました。最後までお互いにいいプレーができて良かった」。互いに譲れないなかでマックスに達した集中力。名勝負はトーナメントコースレコードとなるトータル17アンダーという数字となって表れた。ちなみにミニョンのトータル16アンダーはタイ記録。3位の成田美寿々と三ヶ島かながトータル10アンダーだから、いかに2人が互いに切磋琢磨して競り合ったかが分かる。
これで黄金世代8人目の優勝。次なる目標は黄金世代で4人目となる「2勝目」だ。「2つ目を勝つ壁が大きいと聞くので少しでも早くしたいですね。そして北海道で勝ちたいという気持ちも強いです。そこに向かって頑張りたい」。“最も優勝に近い”と言われ続けてようやく掴んだ初タイトル。ここからは一気に積み上げていきたい。(文・秋田義和)