<日本女子オープンゴルフ選手権 3日目◇5日◇COCOPA RESORT CLUB 白山ヴィレッジゴルフコース QUEENコース(三重県)◇6479ヤード・パー72>
初日7640人、2日目8303人が入場し、本大会の予選ラウンドとしては2000年以降最高の1万5943人を動員。快晴の3日目は、2日間の合計に迫る1万4131人。3日間合計で3万74人を集めている今大会。開催コースの『COCOPA RESORT CLUB 白山ヴィレッジゴルフコース QUEENコース』は、「予想外です」という状況の対応に追われている。
斜面にはこの大ギャラリー ケガしないように…
早朝のトップスタートは7時半。スタートのはるか前から会場周辺には車の列、列、列。渋滞にはまり、時間通りに到着できない、という選手は出なかったが、大混乱に陥った。ギャラリー向けの駐車場に限りがあるため、「公共交通機関をお使いください」と呼びかけているが、最寄り駅発のギャラリーバスは朝から2時間待ち。こちらは、お目当ての選手スタートに間に合わないという現象が続いた。
主催の日本ゴルフ協会(JGA)によると、4日間の予想ギャラリー数は当初3万人だったが、最近の女子ツアーフィーバーぶりを考慮し3万5000人に上方修正。それに迫る人数がすでに訪れていることを考えれば、混乱も仕方ないか…。
本コースを含む3コースを保有する白山開発株式会社の東本裕治取締役総支配人は、うれしい悲鳴を上げる。「ギャラリープラザに出しているコースの売店のビールが昼で売り切れました。あわてて、缶ビールを近くのスーパーに買いに行きました」と、3日目終了時の計算ではこの日だけで1530本を売り上げた。他の出店も含めれば、どれだけの売り上げがあったのか。まさに最高潮に盛り上がる野外イベントとなっている。
東本総支配人によると、「近年、三重県ではこのように1万人を超える人を集めるイベントがなかったので、三重県警にも協力してもらっています。信号機の調整や、警察官の配備など近隣の交通整理はもちろん、コース敷地内には常に交通課、警備課、白バイ隊員、複数のパトカーなどを含めて、20人ほどの警察の方に常駐していただいています」と、“女子オープン臨時署”まで登場している。
「事前に三重県警本部が最近行われた大会の管轄警察署に調査などもしてくださって、全員で混乱を招かないようにという思いでやっています」と、東本総支配人は話す。コースの造りも各ホールが木々でセパレートされた、いわゆる林間コースとはちがい、ホール間もオープンスペースに余裕を持つ。さらに通常営業では36ホールと、施設にも余裕があるため、そこまでの混雑ぶりは感じないが、それでも渋野日向子を中心とした人気選手見たさに駆けつけるファンは当然これまでとケタ違い。もともとゴルファーの熱気が強い地域に加え、最大の野外イベントとして、ここまでの白山ヴィレッジは老若男女で大にぎわいだ。
一般のギャラリーに加え、COCOPA RESORT CLUBのメンバーには、一人1枚の招待券(同伴者1名入場可)と入場券4枚綴りを2セット、つまり期間中“10人”が入場可能となる優待券が配られている。約8000人弱の会員のうち数千人がこの優待券で入場。コースメンバーの来場が大きく、会場の至るところでメンバーを見かけることとなっている。
そんなメンバーたちのためにコースが動いた。隣接するホテルのレストランを開放したり、メンバー専用の特権を受け取れる場所をコース内に設置。「メンバーさんに何か提供したい」というクラブ側の意向で、なんと、最大2000人ほどが収容できる特大ギャラリースタンドを18番のグリーン脇に建設したのだ。
大会開催にあたり、JGAとコース側では何十回と打ち合わせが重ねられるが、「日曜日にコースに到着したら、まさか、こんな大きなモノだと思わなかった」と、JGAの関係者も驚きを隠せない様子だ。敷地が広い本コース。「うまくギャラリーが分散されているし、コース内に出て行って見る人が多い」とJGA、コース側は話すが、海外メジャーで見るような巨大ギャラリースタンドが観戦のハブになるのでは…。そう思って注目していたが、予選ラウンドはこのスタンドにはほとんど人が座ることなく、どこか違和感を覚えるものになっていた。
大会のギャラリースタンド建設には、毎試合専門業者が入るが、今回のこのメンバー優先スタンドはコース側手配、建設を発注し、ちょうど1週間前に完成したという。これについて東本総支配人はこう説明する。
「今回のスタンドは少し勾配が急でした。運動会のように、ずっと同じ場所に座って見る行事の時に使うスタンドなんです。ゴルフ観戦は人の入れ替わりが激しいため、音が出たりすると問題が起きますし、係員を4カ所すべての入り口に配備して、上にも係員を3人置いています」と、万全の体制で臨むはずだったが、予選ラウンドを見ている限りでは、ほとんど人が入っていない…。
前述のように1万4000人ほどが訪れた土曜日は、上位陣のプレーが進むにつれて、スタンド前列から半分ほどは埋まっていたが、JGAの関係者は、「スタンドぜんぶが埋まったら安全性が…」と、懸念を示した。これに対して東本総支配人は「最初からぜんぶの席を解放するのではなく、徐々に入れて、様子を見ています。スタンドでは、『ゆっくり動き、走らない、音を立てない」を守ってもらえば、安全性には問題ありません。日曜日はきっとぜんぶ埋まると思います』と自信を見せた。
急きょ建てられた日本最大級ともいえるスタンド。最終日の最終ホール。西日があたるこのスタンドから、勝者に向けた大声援が送られるのか。フィーバーまっただ中の女子ツアー最高峰の戦いが最高潮に盛り上がりを見せる頃、どんな状況になっているのだろうか。(文・高桑均)
初日7640人、2日目8303人が入場し、本大会の予選ラウンドとしては2000年以降最高の1万5943人を動員。快晴の3日目は、2日間の合計に迫る1万4131人。3日間合計で3万74人を集めている今大会。開催コースの『COCOPA RESORT CLUB 白山ヴィレッジゴルフコース QUEENコース』は、「予想外です」という状況の対応に追われている。
斜面にはこの大ギャラリー ケガしないように…
早朝のトップスタートは7時半。スタートのはるか前から会場周辺には車の列、列、列。渋滞にはまり、時間通りに到着できない、という選手は出なかったが、大混乱に陥った。ギャラリー向けの駐車場に限りがあるため、「公共交通機関をお使いください」と呼びかけているが、最寄り駅発のギャラリーバスは朝から2時間待ち。こちらは、お目当ての選手スタートに間に合わないという現象が続いた。
主催の日本ゴルフ協会(JGA)によると、4日間の予想ギャラリー数は当初3万人だったが、最近の女子ツアーフィーバーぶりを考慮し3万5000人に上方修正。それに迫る人数がすでに訪れていることを考えれば、混乱も仕方ないか…。
本コースを含む3コースを保有する白山開発株式会社の東本裕治取締役総支配人は、うれしい悲鳴を上げる。「ギャラリープラザに出しているコースの売店のビールが昼で売り切れました。あわてて、缶ビールを近くのスーパーに買いに行きました」と、3日目終了時の計算ではこの日だけで1530本を売り上げた。他の出店も含めれば、どれだけの売り上げがあったのか。まさに最高潮に盛り上がる野外イベントとなっている。
東本総支配人によると、「近年、三重県ではこのように1万人を超える人を集めるイベントがなかったので、三重県警にも協力してもらっています。信号機の調整や、警察官の配備など近隣の交通整理はもちろん、コース敷地内には常に交通課、警備課、白バイ隊員、複数のパトカーなどを含めて、20人ほどの警察の方に常駐していただいています」と、“女子オープン臨時署”まで登場している。
「事前に三重県警本部が最近行われた大会の管轄警察署に調査などもしてくださって、全員で混乱を招かないようにという思いでやっています」と、東本総支配人は話す。コースの造りも各ホールが木々でセパレートされた、いわゆる林間コースとはちがい、ホール間もオープンスペースに余裕を持つ。さらに通常営業では36ホールと、施設にも余裕があるため、そこまでの混雑ぶりは感じないが、それでも渋野日向子を中心とした人気選手見たさに駆けつけるファンは当然これまでとケタ違い。もともとゴルファーの熱気が強い地域に加え、最大の野外イベントとして、ここまでの白山ヴィレッジは老若男女で大にぎわいだ。
一般のギャラリーに加え、COCOPA RESORT CLUBのメンバーには、一人1枚の招待券(同伴者1名入場可)と入場券4枚綴りを2セット、つまり期間中“10人”が入場可能となる優待券が配られている。約8000人弱の会員のうち数千人がこの優待券で入場。コースメンバーの来場が大きく、会場の至るところでメンバーを見かけることとなっている。
そんなメンバーたちのためにコースが動いた。隣接するホテルのレストランを開放したり、メンバー専用の特権を受け取れる場所をコース内に設置。「メンバーさんに何か提供したい」というクラブ側の意向で、なんと、最大2000人ほどが収容できる特大ギャラリースタンドを18番のグリーン脇に建設したのだ。
大会開催にあたり、JGAとコース側では何十回と打ち合わせが重ねられるが、「日曜日にコースに到着したら、まさか、こんな大きなモノだと思わなかった」と、JGAの関係者も驚きを隠せない様子だ。敷地が広い本コース。「うまくギャラリーが分散されているし、コース内に出て行って見る人が多い」とJGA、コース側は話すが、海外メジャーで見るような巨大ギャラリースタンドが観戦のハブになるのでは…。そう思って注目していたが、予選ラウンドはこのスタンドにはほとんど人が座ることなく、どこか違和感を覚えるものになっていた。
大会のギャラリースタンド建設には、毎試合専門業者が入るが、今回のこのメンバー優先スタンドはコース側手配、建設を発注し、ちょうど1週間前に完成したという。これについて東本総支配人はこう説明する。
「今回のスタンドは少し勾配が急でした。運動会のように、ずっと同じ場所に座って見る行事の時に使うスタンドなんです。ゴルフ観戦は人の入れ替わりが激しいため、音が出たりすると問題が起きますし、係員を4カ所すべての入り口に配備して、上にも係員を3人置いています」と、万全の体制で臨むはずだったが、予選ラウンドを見ている限りでは、ほとんど人が入っていない…。
前述のように1万4000人ほどが訪れた土曜日は、上位陣のプレーが進むにつれて、スタンド前列から半分ほどは埋まっていたが、JGAの関係者は、「スタンドぜんぶが埋まったら安全性が…」と、懸念を示した。これに対して東本総支配人は「最初からぜんぶの席を解放するのではなく、徐々に入れて、様子を見ています。スタンドでは、『ゆっくり動き、走らない、音を立てない」を守ってもらえば、安全性には問題ありません。日曜日はきっとぜんぶ埋まると思います』と自信を見せた。
急きょ建てられた日本最大級ともいえるスタンド。最終日の最終ホール。西日があたるこのスタンドから、勝者に向けた大声援が送られるのか。フィーバーまっただ中の女子ツアー最高峰の戦いが最高潮に盛り上がりを見せる頃、どんな状況になっているのだろうか。(文・高桑均)