初めて取材するわけで、こちらとしてはもっといろんな情報を引き出したい。ジャンボ邸での練習のことや、原選手のプレースタイル、近々の目標などを細かく聞いていくうちに笑顔も戻り、18歳の若者らしく元気よく答えてくれた原選手。こちらとしては情報収集完了、原稿を書くだけの素材がそろったところで、その場を離れようとしたのですが、そのとき他の記者がその場に加わり、ある質問をしたのです。

そのときの質問がこちら。『同学年の選手のことは気になりますか？』。のちに世間を騒がせる黄金世代の一角。気になる質問ではありますが、原選手は即座に、「ほかの人のことは気にしていません」と、強い視線をその記者に向けて答えました。ちょっとだけ不機嫌になったような表情を見せたようにみえたのですが、強い意志を持って気持ちを伝えることができる、いい意味で気の強い選手だなと思ったのを覚えています。

原選手は、プレーも強気な選手です。狭いホールでもドライバーを握り、常にバーディ狙い。そのぶんケガをすることもありましたが、見ていて楽しいゴルフなのは間違いありません。その年のプロテストは失敗、QTもうまくいかず少しだけ遠回りしましたが、18年は単年登録選手としてステップ・アップ・ツアーで2勝。第1回リランキングもクリアし賞金シードも獲得。7月にはプロテストにも合格しました。最初に中京で話したときの悔しさや、その後の遠回りがあったからこそ、それらをバネにして強くなったのだと思います。

昨年6月にはツアー初優勝も遂げましたが、その後は惜しいところで勝利を逃した「アース・モンダミンカップ」や、上々のスタートを切りながら決勝ラウンドで失速してしまった「日本女子オープン」などで涙の敗戦も経験しました。そんな悔しさがさらに今年の原選手を強くするのではないか。いまだ開幕を迎えていないため、まだ今年は一度も話ができていませんが、あのとき見た鋭いまなざしが、より鋭くなって戻ってくることを期待しています。（文・高桑均）