今季初の4連戦の最終戦「デサントレディース東海クラシック」は、古江彩佳がプレーオフで東浩子を下してプロ初優勝を手にした。これで古江はアマ時代に制した「富士通レディース」に続き、プラチナ世代一番乗りとなる複数回優勝を達成した。その強さはどこにあるのか。上田桃子や小祝さくららを指導する辻村明志コーチが解説する。
入射角に注目!古江彩佳スイング連続写真【正面】
■名勝負を分けたのは18番ホールのロケーション
2009年以降、優勝スコアが2桁アンダーという今大会。だからといって“パターが入った選手が強い”というわけではないと辻村氏。新南愛知カントリークラブ 美浜コースならではで求められるものがあるのだという。
「ここぞというときにフェアウェイに置ける力が求められるコースです。ラフが長いので、フェアウェイかラフかでだいたい0.5打変わってきます。スコアが出るからといってフェアウェイが広いわけではなく2番、3番、7番あたりは狭いですし、5番パー5はフェアウェイに置ければチャンスというホール。飛距離よりも安定性が求められますね」
優勝した古江はフェアウェイキープ率9位、敗れた東は4位、今大会で5位タイに入ったフェアウェイキープ率1位の酒井美紀をはじめ、青木瀬令奈、宮里美香といった方向性に優れたティショット巧者が軒並み上位に入った。
そんな2人の名勝負を分けたのは、プレーオフも行われた新南愛知CCの18番のロケーションだという。
「2打目地点からグリーンまで左に池が続くホールで、最終日のピン位置は左でした。そうなるとドローヒッターの古江さんのほうがターゲットを狙いやすい。フェードを打っていた東さんはどうしても池が気になったと思います。東さんは正規の18番、プレーオフで少し左を嫌がって上体が浮いてしまったように見えました。最終ホールはそんなロケーションでドローヒッターにぶがありました」
辻村氏がいうように、ホールアウト後に東は「(池を怖がり)攻めきれなかった」と話した。正規の18番、プレーオフともに、東のショットは右7mとピンにつけることができず。一方で古江はプレーオフで30cmにピタリ。勝負を決めた。
また、正規の18番でも古江の上手さが光った。「右ラフのつま先上がりで左に行きやすいシチュエーション。それを古江さんは切るような打ち方でグリーンの右サイドに乗せた。その後の18mのロングパットを決めたのは置いておいて、やるべきことをやっていると感じました。そのあたりにも技術の高さを感じます」。
■古江彩佳のスイングは正面から見て良し、後方から見て良し
ドライバーからウェッジショットまで縦距離・左右のブレが少ない、まさにショットメーカーというタイプの古江。辻村氏も「無駄のないスイングで、これだけ曲がらない選手はなかなかいない。再現性が高く、ディスタンスコントロールもすばらしい」と評する。
「古江さんのスイングは正面から見ても、後方から見ても良さが分かります。まず正面から見ると入射角がシャローになっていることが分かります。また、クラブの円運動がちゃんと大きい。そして後方から見てみるとシャフトがボールに入っていくところと、打ってから外に出ていくところとが同じ位置。つまりスイングプレーンがとてもきれいでシャフトの動きの再現性がすごい」
なぜ、球のネジレが少ないスイングが常にできるかというと、下半身主導で打てているからだ。「常に下半身リードで上体に力が入っておらず、無駄な動きが一切ない。だからプレッシャーがかかった場面でも同じように打てる。下半身の大きな筋肉は鈍感で、上半身の筋肉は敏感です。腕に力が入れば入射角が即、ズレますから」。
辻村氏は続ける。「そして、余計な力みがないから、シャフトがしっかりとしなり、加速してインパクトを迎えられる。道具の使い方がうまいですね。また、ドローヒッターはクラブが下から入ると手の動きをどうしても入れなければならなくなりますが、今回の古江さんは入射角が安定していて、その傾向はありませんでした」。153cmと小柄ながら飛距離も出る理由がそこにある。
■再現性を生み出す世代屈指の練習量
今回、古江のキャディを務めた小畑貴宏氏に、辻村氏が祝福の連絡したところ「古江プロはとにかく練習をするプロだと感じました」と返ってきたという。
「もちろん練習量がすべてではありませんが、古江さんは意味のある練習をたくさんしているように感じます。それがプレッシャーのかかる場面での再現性につながっているのは言うまでもありません。古江さんだけでなく、鈴木愛さんしかり、笹生優花さんしかり。やはり強い人はたくさん練習をするということです。ここからどう力をつけていくのか。とても楽しみな選手の1人です」
解説・辻村明志(つじむら・はるゆき)/1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとしてチャレンジツアー最高位2位などの成績を残し、2001年のアジアツアーQTでは3位に入り、翌年のアジアツアーにフル参戦した。転身後はツアー帯同コーチとして上田桃子、山村彩恵、松森彩夏、永井花奈、小祝さくら、吉田優利などを指導。様々な女子プロのスイングの特徴を分析し、コーチングに活かしている。プロゴルファーの辻村明須香は実妹。ツアー会場の愛称は“おにぃ”。
入射角に注目!古江彩佳スイング連続写真【正面】
■名勝負を分けたのは18番ホールのロケーション
2009年以降、優勝スコアが2桁アンダーという今大会。だからといって“パターが入った選手が強い”というわけではないと辻村氏。新南愛知カントリークラブ 美浜コースならではで求められるものがあるのだという。
「ここぞというときにフェアウェイに置ける力が求められるコースです。ラフが長いので、フェアウェイかラフかでだいたい0.5打変わってきます。スコアが出るからといってフェアウェイが広いわけではなく2番、3番、7番あたりは狭いですし、5番パー5はフェアウェイに置ければチャンスというホール。飛距離よりも安定性が求められますね」
優勝した古江はフェアウェイキープ率9位、敗れた東は4位、今大会で5位タイに入ったフェアウェイキープ率1位の酒井美紀をはじめ、青木瀬令奈、宮里美香といった方向性に優れたティショット巧者が軒並み上位に入った。
そんな2人の名勝負を分けたのは、プレーオフも行われた新南愛知CCの18番のロケーションだという。
「2打目地点からグリーンまで左に池が続くホールで、最終日のピン位置は左でした。そうなるとドローヒッターの古江さんのほうがターゲットを狙いやすい。フェードを打っていた東さんはどうしても池が気になったと思います。東さんは正規の18番、プレーオフで少し左を嫌がって上体が浮いてしまったように見えました。最終ホールはそんなロケーションでドローヒッターにぶがありました」
辻村氏がいうように、ホールアウト後に東は「(池を怖がり)攻めきれなかった」と話した。正規の18番、プレーオフともに、東のショットは右7mとピンにつけることができず。一方で古江はプレーオフで30cmにピタリ。勝負を決めた。
また、正規の18番でも古江の上手さが光った。「右ラフのつま先上がりで左に行きやすいシチュエーション。それを古江さんは切るような打ち方でグリーンの右サイドに乗せた。その後の18mのロングパットを決めたのは置いておいて、やるべきことをやっていると感じました。そのあたりにも技術の高さを感じます」。
■古江彩佳のスイングは正面から見て良し、後方から見て良し
ドライバーからウェッジショットまで縦距離・左右のブレが少ない、まさにショットメーカーというタイプの古江。辻村氏も「無駄のないスイングで、これだけ曲がらない選手はなかなかいない。再現性が高く、ディスタンスコントロールもすばらしい」と評する。
「古江さんのスイングは正面から見ても、後方から見ても良さが分かります。まず正面から見ると入射角がシャローになっていることが分かります。また、クラブの円運動がちゃんと大きい。そして後方から見てみるとシャフトがボールに入っていくところと、打ってから外に出ていくところとが同じ位置。つまりスイングプレーンがとてもきれいでシャフトの動きの再現性がすごい」
なぜ、球のネジレが少ないスイングが常にできるかというと、下半身主導で打てているからだ。「常に下半身リードで上体に力が入っておらず、無駄な動きが一切ない。だからプレッシャーがかかった場面でも同じように打てる。下半身の大きな筋肉は鈍感で、上半身の筋肉は敏感です。腕に力が入れば入射角が即、ズレますから」。
辻村氏は続ける。「そして、余計な力みがないから、シャフトがしっかりとしなり、加速してインパクトを迎えられる。道具の使い方がうまいですね。また、ドローヒッターはクラブが下から入ると手の動きをどうしても入れなければならなくなりますが、今回の古江さんは入射角が安定していて、その傾向はありませんでした」。153cmと小柄ながら飛距離も出る理由がそこにある。
■再現性を生み出す世代屈指の練習量
今回、古江のキャディを務めた小畑貴宏氏に、辻村氏が祝福の連絡したところ「古江プロはとにかく練習をするプロだと感じました」と返ってきたという。
「もちろん練習量がすべてではありませんが、古江さんは意味のある練習をたくさんしているように感じます。それがプレッシャーのかかる場面での再現性につながっているのは言うまでもありません。古江さんだけでなく、鈴木愛さんしかり、笹生優花さんしかり。やはり強い人はたくさん練習をするということです。ここからどう力をつけていくのか。とても楽しみな選手の1人です」
解説・辻村明志(つじむら・はるゆき)/1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとしてチャレンジツアー最高位2位などの成績を残し、2001年のアジアツアーQTでは3位に入り、翌年のアジアツアーにフル参戦した。転身後はツアー帯同コーチとして上田桃子、山村彩恵、松森彩夏、永井花奈、小祝さくら、吉田優利などを指導。様々な女子プロのスイングの特徴を分析し、コーチングに活かしている。プロゴルファーの辻村明須香は実妹。ツアー会場の愛称は“おにぃ”。