3月2日の女子ツアー開幕に先がけ、22年に初シードを獲得した11人のスイングを飯島茜が解説。同時に今季の活躍を占う。今回は身長155センチと小柄ながらワイドスタンスで平均240ヤード以上飛ばす佐久間朱莉のドライバーショットを見ていこう。
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佐久間朱莉 さくま・しゅり
2002年12月11日生まれ 20歳 埼玉県川越市出身 155センチ
メルセデス・ランキング33位 年間獲得賞金35位(3710万6778円)
22年シーズンの主な成績(ヤマハレディースオープン葛城9位タイ、日本女子オープンゴルフ選手権6位、樋口久子 三菱電機レディス3位タイなど)
ドライビングディスタンス29位 241.12ヤード
フェアウェイキープ率17位 72.3058%
トータルドライビング1位
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昨年、佐久間はルーキーシーズンながら、優勝者とメルセデス・ランキング上位者のみが出場できる最終戦、「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」まで進んだ。身長155センチと小柄ながら、『ドライビングディスタンス』29位、『フェアウェイキープ率』17位にランクイン。この2部門の順位の合計で争う『トータルドライビング』は桑木志帆と並んで1位を獲得している。つまり、22年シーズンはもっとも飛んで曲がらない選手だった。
「ワイドスタンスでスイングアークが大きく、体重移動をマックスに使っていくタイプですね。いかにも『打ちますよ』という緩みのない構えから、切り返しではヒザでボールを挟んでいるんじゃないかというくらい大きな円が収まる。これだけ動いているのに収まりがいい。そして、前傾をキープしたまま前でボールをとらえていく。ダイナミックなフットワークですよね。これは飛ぶと思います。連続写真で見ると、センスがあるんだなというのがよくわかります」
しかし、ワイドスタンスにすれば誰もが飛ぶわけではない。「スエーしやすくなるし、クラブが戻りづらいので、アマチュアの方にはオススメしません。特に股関節が硬くて体が回りづらい人は、スタンスは逆にちょっと狭い方がいい。そのほうが股関節に乗りやすくなりますから」と飯島。佐久間のようにワイドスタンスで大きな体重移動を使いながら、スエーせずに軸を保って回るには「体幹と下半身の強さが必要」なのだ。
オフはトレーニングに精力的に取り組んでいる佐久間。ジャンボ尾崎の飛距離へのこだわりは門下生の20歳もしっかり受け継いでいる。
■飯島茜
いいじま・あかね 1983年7月11日生まれ。千葉県出身。05年のプロテストに一発合格すると、同年から12年連続でシード権をキープし、「日本女子プロゴルフ選手権」などツアー通算7勝を挙げた。現在はツアーの第一線を退き、東宝調布スポーツパークでアマチュアにレッスンを行ったり、YouTuberとしても活躍中。