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節目の年の追悼セレモニーに落胆 風化させないためにもう少しやり方を【記者の目】

節目の年の追悼セレモニーに落胆 風化させないためにもう少しやり方を【記者の目】

配信日時:2021年4月19日 17時22分

簡単なところでは1組目のスタートのタイミングでセレモニーをやるのであれば、その組のメンバーを熊本県出身者で固めることはできたと思う。もっと言えば、いわゆる“注目組”の選手たちが、そのセレモニー開始時にはコースにいて、例えば練習前などにごく自然にそれに参加できるようなスタート時間にすれば、とも思った。他にも様々な方法で、試合への影響なく出席する手立てはあったと思う。

なぜ、熊本県出身者に参加してもらいたいかと言えば、開幕前に上田桃子、有村智恵といった選手たちが、節目の年に改めて熊本への思いを語っていたからだ。シンボルの熊本城天守閣の復旧、復興の難しさ、それでも前を向いている県民たち…。それぞれが自分たちの言葉で思いのたけを話していた。それだけの気持ちを持っている選手たちが、参加しやすいようにできたのではないか。

さらに東日本大震災とは異なり、選手たちの一部、特に熊本県出身の選手たちは、当時このコースで実際に被災したのだ。揺れに恐怖を感じ、余震におびえ、大会は中止に。そういう思いがあるならばこそ、全員は無理かもしれないが、せめて熊本県出身の選手がもっとセレモニーに参加できる状況、しやすい状況を作れなかったのか。

笠りつ子は言った。「あの震災で日常が当たり前ではないと気づかされました。それでも忘れてしまいそうになる事もある」。だからこそ、年に一度思い返すことが大事、と。もちろん、まだ元の生活に戻ることができていない人も多数いることも忘れてはならない。

セレモニーには追悼の意を捧げるとともに、熊本地震を風化させない目的もあると思う。だからこそ、来年、そして10年後はもっと意義深いセレモニーになっていて欲しい。(文・秋田義和)

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