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亡き母には「天国で喜んでいてくれたらうれしい」 若林舞衣子が娘、そしてママとして捧げたV

亡き母には「天国で喜んでいてくれたらうれしい」 若林舞衣子が娘、そしてママとして捧げたV

配信日時:2021年7月18日 18時16分

「子供がいなかったときはすべて自分の時間だった。体のケアに行ったり、ネイルに行ったり。自分のことだけ考えていたのが、今は家族のこと、子供のこととやることが増えた。それが大変でしたね」。今では試合が終わるたびに月曜日と火曜日の献立を考える日々。ゴルフに割ける時間も減少した。

今年で33歳。気がつけば一ノ瀬優希や大江香織のように、同世代の仲間のなかにはツアーから離れる選択をする選手も増えてきた。そんななかでも出産を経てもやめることはしなかった。そこには若林なりの強い決意があった。「私が頑張ることで結婚、出産しても戦えると思ってもらいたい」。そしてもう一つ、こんな思いも。「ママはプロゴルファーですごいんだ、と分かってもらえるまで頑張ろうと思います」と、子供にかっこいい姿を見せるまではやめないと決めた。

復帰してからは試行錯誤のすえ飛距離も伸び、ゴルフもよくなり、そして生活にも慣れてきた。そんな矢先、今年6月に最愛の母・久美子さんが亡くなった。その日は「アース・モンダミンカップ」の最終日。スタート前に姉から母が危篤との連絡があり、亡くなったことはホールアウト後に知った。死に目どころか、コロナ禍の影響で入院中は面会すらもできなかった。

悲しいできごとをなんとか力に変えた。「会いに行けなかったことを後悔しています。自分のゴルフだけは後悔しないように、自分を信じてプレーしようと決めていました」。そして「ニッポンハムレディス」で2位、そして今週の優勝へつなげた。「本当は生きているうちに見せてあげたかった。天国で喜んでくれていたらうれしい」。優勝インタビューで『娘としても戦った』と言われると、思いがあふれ出た。

激闘のプレーオフ、そして優勝したとき、今週初めてコースに“応援”に来た息子は夢のなかだった。抱きかかえて写真に写るとき一瞬起きたが、また目をつむった。「ホントに眠いんだなって。面白かったです」。こちらの思いが届くには、まだまだ頑張らないといけなさそうだ。

それでも母から子へ、子から母へ、想いは一つだった。「先週は堀さんの強い気持ちに私が負けたと思った。今週は絶対負けない。弱い自分に負けたくない。絶対に勝つと思ってやった」。最後のバーディパットを決めて高々と突き上げた右手は、たしかに天国に届いていた。(文・秋田義和)

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