パーを並べて迎えた14番は、バーディチャンスをものにできずにパー。しかし、前半8番のように焦りは生まなかった。続く15番パー3はグリーンの手前と左に池が広がる、易しくないホール。「目標（スコア）に届くように自信を持って振り抜こう」と放った6番アイアンのショットは、ピン手前1メートルにつけて、後半初のバーディを奪った。16番は2.5メートルのパーパットを沈めてピンチをしのぐと、2打差で迎えた最終18番は、目標どおり1メートルのバーディパットを沈めて逃げ切りに成功。逃げ切り優勝の難しさを感じながらも、後半自分のプレーに集中できるセルフコントロールを見せた。

最終日、追われる立場の難しさを感じた1日。「そういう場面でも自分自身と戦えるような選手にならないと。今回は差があったので、そのまま優勝できたけど、そういうところも強くしていかないといけないかなと感じました」。この経験はさらに自分を強くするいいモノになったはずだ。

獲得賞金は1億5349万円余りで賞金ランキングは3位。今季7勝で賞金女王レースを独走する稲見萌寧（2億687万円余り）とは5000万円以上の差がある。「自分はそこを考えたことはないんですけど、まだまだ…。1試合1試合がんばるだけで上に行くって感じですね」。逆転でも逃げ切りでも優勝できる。気がつけば“稲見のライバル”になっているかもしれない。（文・小高拓）