その後、JLPGAが言い始めた『2025年から全試合をJLPGA主催にする』という話が先にまとまっていれば、これほどこじれなかったはず。だがこの件はまだまとまっておらず、まずは放映権だけの話に決着がつく。22年に関しては、権利のみがJLPGAに帰属し、放映権料は発生しないことになっているため、全試合、今年とあまり変わらない形で行われることになりそうだ。だが、放映権料が発生し始める23年になるとどうなるか。放映権料が発生すれば、主催者側には賞金、運営費に加えてその負担が増える。「金額次第ですが、放映権料が発生したらその分、賞金を下げるという話もすでに出始めています」「試合をやめるといい出せなかったところも、“実害”が出始めたらどうなるかわからない」という声も、大会関係者からは聞こえてくる。
JLPGAが力を入れるインターネット配信に関しては、権利についてはJLPGAにあることに異論を唱える主催者はいない。ただ、「スタンレーレディス」以降、有料のGOLF TVで配信するという話も、現状ではすべての試合でできているわけではなく、どうなるかわからない。
ファンの側から見れば、誰が放映権を持っていようが試合を見られるならどうでもいい話。問題はライブで見られるかどうか、有料か無料かということになるだろう。有料なら値段にもよるだろう。それが明らかになるのは、放映権料が発生してからの話になる。どちらにとっても裏付けとなるのは、ファンがどれだけついて来るか、ということだ。
JLPGAが考えている自分たちのバリュー(価値)と、スポンサーが考えているJLPGAのバリュー、ファンが考えているJLPGAのバリュー。できるだけ自分たちのバリューを上げようとする努力は当然だが、スポンサーやファンのそれとのバランスが取れなければ、賞金が下がったり、試合そのものが減ってしまう可能性は十分にある。
放映権がJLPGAの帰属になることが確定したのは大きな前進であり、ゴルフ業界にとっては大きな出来事だ。小林会長にとっては悲願達成といっていいだろう。しかし『放映権問題は協議しつくして、みんなに納得してもらっている』と主張するJLPGAと、『放映権がJLPGAに帰属したときの細かい契約について説明を受けていない』と考えている主催者の間に横たわる溝はまだまだ深い。
有料か無料か、ライブか録画か。地上波、BS、インターネット、試合が見られる選択肢はできるだけ多い方がいい。どんな形であれ、ファンが試合を見る機会を減らすのではなく増やすこと。それが一番大切なことだ。スポンサーはその向こう側にいる。ファンなくしてスポンサーはつかないことを改めて認識して動けば、バリューは上がっていくのではないか。放映権を持つということは、お金をもらう権利が生じるだけでなく、それを売ることで試合を露出させる義務も生じることになる。女子ツアーというコンテンツを、宝の持ち腐れにすることなく、より多くの人に見てもらうために、やるべきことはまだまだ山積みだ。(ゴルフジャーナリスト・小川淳子)
JLPGAが力を入れるインターネット配信に関しては、権利についてはJLPGAにあることに異論を唱える主催者はいない。ただ、「スタンレーレディス」以降、有料のGOLF TVで配信するという話も、現状ではすべての試合でできているわけではなく、どうなるかわからない。
ファンの側から見れば、誰が放映権を持っていようが試合を見られるならどうでもいい話。問題はライブで見られるかどうか、有料か無料かということになるだろう。有料なら値段にもよるだろう。それが明らかになるのは、放映権料が発生してからの話になる。どちらにとっても裏付けとなるのは、ファンがどれだけついて来るか、ということだ。
JLPGAが考えている自分たちのバリュー(価値)と、スポンサーが考えているJLPGAのバリュー、ファンが考えているJLPGAのバリュー。できるだけ自分たちのバリューを上げようとする努力は当然だが、スポンサーやファンのそれとのバランスが取れなければ、賞金が下がったり、試合そのものが減ってしまう可能性は十分にある。
放映権がJLPGAの帰属になることが確定したのは大きな前進であり、ゴルフ業界にとっては大きな出来事だ。小林会長にとっては悲願達成といっていいだろう。しかし『放映権問題は協議しつくして、みんなに納得してもらっている』と主張するJLPGAと、『放映権がJLPGAに帰属したときの細かい契約について説明を受けていない』と考えている主催者の間に横たわる溝はまだまだ深い。
有料か無料か、ライブか録画か。地上波、BS、インターネット、試合が見られる選択肢はできるだけ多い方がいい。どんな形であれ、ファンが試合を見る機会を減らすのではなく増やすこと。それが一番大切なことだ。スポンサーはその向こう側にいる。ファンなくしてスポンサーはつかないことを改めて認識して動けば、バリューは上がっていくのではないか。放映権を持つということは、お金をもらう権利が生じるだけでなく、それを売ることで試合を露出させる義務も生じることになる。女子ツアーというコンテンツを、宝の持ち腐れにすることなく、より多くの人に見てもらうために、やるべきことはまだまだ山積みだ。(ゴルフジャーナリスト・小川淳子)