そして、この4日間で特に選手が手を焼いたのが、速く仕上げられたグリーンだった。決して球が止まらないわけではない。ただスティンプメーターは4日間11〜12フィート強に設定された。これに加え4日間通じて傾斜にピンが切られるホールが多かっただけに、タッチを合わせるのも一苦労だったというのは、選手たちが共通して証言していた部分でもあった。
辻村氏は、そんなグリーン上でも「本当に入ってましたね」と突出したプレーを見せる古江に感心するほかなかった。ミドルレンジのバーディパットが、数ホールに1本決まる。ショットでボールを止めきれず、嫌な距離のパーパットが残った時でもそれをしっかり決めてくる。「(パターの)フェース面が左右にブレないから、ボールの回転がいい。2日間一緒に回って、ミスパットは1度も見ませんでした。まっすぐに押し出せるし、ラインの読みもうまいから、自分のライン上に送り出せれば、ほとんど入ります」。勝負を決めたウイニングパットも、外せばプレーオフという2メートルのパーパットを「緊張しました」といいながらも、軽く流し込んだようにさえ見えた。
前週の「富士通レディース」ではプレーオフで敗れ、リベンジに燃えていた勝みなみは、3日目のラウンドを終えた後の会見で古江のイメージについて「職人」と答えた。「フェアウェイに置いて、セカンドを打って、パターを入れる。自分が狙っているところに置き続けて、職人だなと思います」というのがその理由。プロ野球の世界では“ファインプレーをファインプレーに見せないのが本当の名手”ということがよく言われるが、それに近いものを勝の言葉から感じる。
優勝会見の席で、スタート時の心境を聞かれた古江は「スキを見せないように。ミスはできない」と答えた。1打ビハインドのままホールアウトし、プレーオフへの望みをつないだ西郷は、練習グリーンで「(1組後の)古江さんがボギーを打つとは思ってなかった。けど“絶対”はないから」という気持ちでボールを転がしていた。自分の勝利を信じたいライバルでさえも“スキ”を見つけることができなかった、そんな風にも聞こえてくる。「残る5試合、ほとんど上位にいきそうな気配がありますね。去年の秋のような神がかり的なものを感じました」。最後に辻村氏は、古江の“怖さ”をこう表現して締めくくった。
解説・辻村明志(つじむら・はるゆき)/1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとしてチャレンジツアー最高位2位などの成績を残し、2001年のアジアツアーQTでは3位に入り、翌年のアジアツアーにフル参戦した。転身後はツアー帯同コーチとして上田桃子、山村彩恵、松森彩夏、小祝さくら、吉田優利、阿部未悠らを指導。様々な女子プロのスイングの特徴を分析し、コーチングに活かしている。プロゴルファーの辻村明須香は実妹。ツアー会場の愛称は“おにぃ”。
辻村氏は、そんなグリーン上でも「本当に入ってましたね」と突出したプレーを見せる古江に感心するほかなかった。ミドルレンジのバーディパットが、数ホールに1本決まる。ショットでボールを止めきれず、嫌な距離のパーパットが残った時でもそれをしっかり決めてくる。「(パターの)フェース面が左右にブレないから、ボールの回転がいい。2日間一緒に回って、ミスパットは1度も見ませんでした。まっすぐに押し出せるし、ラインの読みもうまいから、自分のライン上に送り出せれば、ほとんど入ります」。勝負を決めたウイニングパットも、外せばプレーオフという2メートルのパーパットを「緊張しました」といいながらも、軽く流し込んだようにさえ見えた。
前週の「富士通レディース」ではプレーオフで敗れ、リベンジに燃えていた勝みなみは、3日目のラウンドを終えた後の会見で古江のイメージについて「職人」と答えた。「フェアウェイに置いて、セカンドを打って、パターを入れる。自分が狙っているところに置き続けて、職人だなと思います」というのがその理由。プロ野球の世界では“ファインプレーをファインプレーに見せないのが本当の名手”ということがよく言われるが、それに近いものを勝の言葉から感じる。
優勝会見の席で、スタート時の心境を聞かれた古江は「スキを見せないように。ミスはできない」と答えた。1打ビハインドのままホールアウトし、プレーオフへの望みをつないだ西郷は、練習グリーンで「(1組後の)古江さんがボギーを打つとは思ってなかった。けど“絶対”はないから」という気持ちでボールを転がしていた。自分の勝利を信じたいライバルでさえも“スキ”を見つけることができなかった、そんな風にも聞こえてくる。「残る5試合、ほとんど上位にいきそうな気配がありますね。去年の秋のような神がかり的なものを感じました」。最後に辻村氏は、古江の“怖さ”をこう表現して締めくくった。
解説・辻村明志(つじむら・はるゆき)/1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとしてチャレンジツアー最高位2位などの成績を残し、2001年のアジアツアーQTでは3位に入り、翌年のアジアツアーにフル参戦した。転身後はツアー帯同コーチとして上田桃子、山村彩恵、松森彩夏、小祝さくら、吉田優利、阿部未悠らを指導。様々な女子プロのスイングの特徴を分析し、コーチングに活かしている。プロゴルファーの辻村明須香は実妹。ツアー会場の愛称は“おにぃ”。