その稲見に大きな期待を寄せる人物がいる。日本女子プロゴルフ協会の会長・小林浩美だ。「ショットの精度が高く、戦っているときの気持ちのブレのなさを感じます。一度ターゲットや構想を決めたら、そこに向かって行ける強さがある」と60台は達成できると太鼓判を押した。

ほかにも、試合数こそ当時とは異なるものの不動裕理以来のシーズン最多タイとなる10勝。そしてメルセデス・ランキング1位の選手に贈られる年間最優秀選手賞（LPGA Mercedes-Benz Player of the Year）など様々な記録、タイトルがかかっている。

この大一番を迎えるにあたって、稲見はキャディに東京五輪以来となる奥嶋誠昭コーチを起用した。隣にいても「安心はできない（笑）」と笑わせつつも、「ショットとかスイングの相談ができる。練習ラウンドとかをコースで見てもらえるのはいい」と今季9勝のうち3勝でタッグを組み、銀メダル獲得にも貢献しているパートナーの存在は大きい。

歴史の1ページとなるかもしれない大会を前にしても「とりあえず最初の2日間で遅れないようにしたい」といつもと変わらず。賞金女王争いのライバル・古江との同組にも「今年（同組で）回るのが多いですし、楽しく回れたらいい」と普段通りの言葉を並べた稲見。新たな記録へと続く72ホールの幕が開ける。