トップから体は止まらず回っていくのですが、古江プロと同様に一切上体が右に傾きすぎず、あおる動きがゼロです。稲見プロの場合は、クラブ意識がすごく高いのでしっかり腕が振れていっています。いうならば正しい手打ち、正しい腕振りスイングです。腰から上でスイングをしているようにも見えます。

インパクトエリアでは骨盤が減速せずにしっかり回るため、手元がまったく浮かない。クラブの動きを邪魔しない下半身があるので、まるで一人だけ卓球や、ゆっくりとしたテニスをやっているくらいフェースコントロールの感覚があると思います。ベン・ホーガンやリー・トレビノ（ともに米国）といった伝説的なショットメーカーも骨盤を開くので、手元があまり浮きません。

『正しい手打ち』という表現を使いましたが、反対に『悪い手打ち』は体が先行しすぎて、腕で補正動作を入れなければならないスイングのこと。野球でいったら泳がされたみたいな、手を使わざるを得ないのが『悪い手打ち』。「飛ばさなきゃ」と体ばっかり大きく動かそうと意識して左右に曲がるアマチュアの方に、一番参考にしてほしいスイングです。

■解説/森守洋
もり・もりひろ　1977年2月27日静岡県生まれ。ゴルフを始めたのは高校から。95年に渡米しミニツアーを転戦しながらゴルフを学んだ。帰国後は『ダウンブローの神様』と呼ばれた陳清波に師事。02年からレッスン活動を開始し、現在は原江里菜、堀琴音、香妻陣一朗のコーチを務めている。東京都三鷹市にある『東京ゴルフスタジオ』を主宰し、アマチュアへのレッスンも行う。