「タイミングによって、風はショットが難しくなるので、雨でよかったところもあります。でも初日に風が強くてライン出しを必要とした場面があり、それを想定して準備をしたのがよかったです」

パッティング、アプローチ、ショットと、調子の良さはプロゴルファーでも日によってマチマチだが、西郷はショットでゲームをつくりあげた。葛城ゴルフ倶楽部はグリーンのアンジュレーションが強く、ボールを置いていいところと置いてはいけないところがはっきりとしている。それだけに、ショットの精度がスコアを大きく左右するからだ。そして低く抑えたライン出しショットが武器となった。

古今東西の兵法書では最高の書であるといわれる「孫子兵法」に、兵站こそ戦いの生命線であるという教えがあるが、西郷も準備を怠らなかったことで、この日の戦いに勝つことができたのだ。さすが、ジャンボ尾崎の弟子である。

「明日からも難しいピンポジションになることを覚悟して、自分のゴルフに集中していきます」と、“覚悟”という言葉を使って今シーズン3勝目、2週連続優勝へ向けて意気込んだ。トーナメントレコードで昨年大会を制した稲見萌寧の、その優勝スコアはトータル12アンダー。このスコアをどこまで上回ることができるのか。西郷が放つショットから目が離せない週末になりそうだ。（文・河合昌浩）