最終18番で、1つ前の組でプレーしていた高橋に並ばれた。7メートルのバーディパットを外してプレーオフに入ると、その2ホール目はティショット、2打目とラフを渡り歩く展開になった。それでも「慣れているのでラフに対して特別“あぁ〜”って思うこともない」と冷静でいられた。ただ、パッティングの時に「絶対にショートさせない」という気持ちだけは忘れなかった。

今回が今季4度目の最終日最終組。「（首位で最終日を迎えながら4位に終わった）開幕戦から悔しい思いをしていたし、中盤から苦しかったけど勝ててうれしい」。ようやく通算5勝目を手にして、ホッとした気持ちも大きい。そしてこれが結婚後初優勝。福岡県で「目の前で優勝を見せたかった」という願いも叶えることができた。「日本ツアーで頑張っている以上、ここで1番になりたい。そこを目指して頑張りたい」。まだまだ上を目指す気持ちは当然ながら変わらない。

表彰式後には、夫婦一緒にカップを持って写真におさまった。「優勝した時、海外の選手がグリーン上でやってるみたいに一緒に写真を撮るのがひそかな夢だった。できてよかったな」。“夢”を叶えた時は、つい数十分前に迫力あるガッツポーズをした時の表情とはまったく違う、穏やかな笑顔だった。（文・間宮輝憲）