基本的に私はせっかちで、すぐに結果が知りたいタイプなのですが、植物と付き合うときはそうはいきません。でも、手をかけて育てた植物からつぼみが出てきて、徐々に開くのを見たとき、花が実になったときなどを観察するのは本当に楽しいものです。

植物と向き合っている間は、ゴルフの『ゴ』の字も頭に浮かぶことはありません。その植物について一生懸命調べたり、花が咲くところを想像したりすることに、夢中になれるからです。オフの時間でも常に頭の中からゴルフが離れないプロゴルファーにとっては、貴重な時間だったと言っていいでしょう。

結婚して一人暮らしではなくなり、ツアーから離れて生活リズムが変わっても、自宅にいないことに変わりはありませんでした。理事になってからも、ゴルフ場に行く機会は相変わらず多く、ここでも自然を楽しむ余裕はありません。

ファンのみなさんの様子を見せていただいたり、選手たちと話をして問題があれば対応する。スポンサーや運営関係者、テレビ関係者のみなさんとの折衝をする……。”人“を相手にする仕事は、プレーヤーとはまったく違います。自分中心に考えて動くプレーヤー時代に比べると、不規則で不確定要素が多い分、バタバタする度合いは多かったのかもしれません。

生活がそんなふうに変わってからも、ベランダでの植物を徐々に増やし、自宅に帰れば緑に囲まれる（そんなにたくさんあるわけではありませんが）時間は、何よりの癒しになっていました。

理事を退任して自宅にいる時間が増えてからは、より植物と向き合う時間が増えました。いずれもベランダでの鉢植えですが、大切に育てています。育てるのが難しいバラですが、大好きなので数種類。レモンの木もあります。それともう一つ、お気に入りなのがエバーフレッシュという植物です。