それでも千両役者の派手なプレーは、目の当たりにした日本のギャラリーたちを大いによろこばせた。6番の10メートルは「ウェッジ1本分くらい」右に打ちだした下りのフックラインが決まったもの。「めちゃくちゃびっくりしました」と目を丸くする渋野と対照的に、グリーン周りを取り囲んだ人々のボルテージは最高潮になっていた。バーディを奪うたびに起こる、拍手の波。7046人が集まったコースの熱気を背中で感じながらの18ホールだった。

「一緒によろこんでくれたり、ため息をついたり。アメリカでもあるけど、少し反応が違う。プレーが悪くても、すごくいい雰囲気で回らせてくれる」。ひさびさの日本ツアーの空気が、「すごい楽しかった。楽しすぎたくらい」と、渋野の気持ちを盛り上げた。

トータル3アンダー・9位タイという結果も、「直すところも、やれるところもたくさんあった。伸びしろしかない」。現在予定している今季の試合は、来週の「TOTOジャパンクラシック」を含め米ツアーの3試合のみとなった。ディフェンディングチャンピオンとして臨んだ大会で出た課題を、シーズンのラストスパートを気持ちよく決めるための糧にしたい。（文・間宮輝憲）