「天才少女」の名を欲しいままにしたアマチュア時代。しかしプロ入り後は、いくつもの高い壁に行く手を阻まれた。「恥ずかしい話、プロになりたての頃は、すぐに勝てる、賞金女王にもなれると思っていました。でも現実はそんなに甘くなかった。自分の実力も分かって、現実的な目標に変わりました」。初優勝からここまで来る間には、「ゴルフを続けるのが恥ずかしい」と考えるほどの不振に陥ったこともあった。
それだけに、ルーキーながらメジャー大会で初優勝してから1カ月のうちに2勝目を挙げた19歳の川崎春花との優勝争いは、“対照的”ともいえる構図だった。僅差のまま終盤に突入する緊迫の展開が続いたが、1打リードで迎えた17番で値千金となるベタピンショットをバーディにつなげ差を広げた。
締めくくりの18番では「最後は決めて勝ちたかった」というバーディチャンスを外したが、気を取り直し20センチのパーパットを沈めるとその表情は一瞬にして崩れた。両手を挙げたのもつかのま、すぐにその手で顔を覆う。「めっちゃ長かったです」。ここまでの苦悩をようやく払拭する瞬間を迎えることができた。
優勝会見の席では、“ギャルファー”として注目を集めたゆえの苦しみも告白。「こういう見た目だから『練習してない』ってよく言われるんです」。SNSには「他の人よりも多いと思う」というほどの心ない声も届いた。「勝って、いつか証明したい。諦めなければ、それなりに結果がついてくることが見せられた。絶対に見返してやるぞと思っていました」。こんな意地が、折れそうな心を支えていた。
グリーンから降りる時、大会名にも冠されている樋口久子が涙を流す姿を見て、また“もらい泣き”。「アマチュアの頃、プロのトーナメントに出場させてもらっていた時、樋口さんには温かいお叱りの言葉をすごくたくさんいただきました」。そんな恩人が自分のために泣いている。この事実も、激しく心を揺さぶった。「いぇーい!」と元気に登場した優勝会見の席でも、苦しんだ時のことを思い出し何度も何度も言葉を詰まらせた。「こう見えてメンタルは強くないんです」。おどけてみせる時も、泣き笑いだ。
単独首位に立った第2ラウンド後の会見で、若手の台頭について聞かれた金田は、こんな感想を口にしていた。「川崎春花ちゃんは初優勝で泣いてないんですよ。尾関彩美悠ちゃんも。逆にすごいなって思って見ていました」。この“不思議な光景”は、金田の優勝シーンには無縁だった。ただ、苦労のすえにつかんだ優勝と涙の相性はやっぱりいい。ファンのみならず他の選手にも元気と勇気を与えた、心温まる優勝劇だった。
それだけに、ルーキーながらメジャー大会で初優勝してから1カ月のうちに2勝目を挙げた19歳の川崎春花との優勝争いは、“対照的”ともいえる構図だった。僅差のまま終盤に突入する緊迫の展開が続いたが、1打リードで迎えた17番で値千金となるベタピンショットをバーディにつなげ差を広げた。
締めくくりの18番では「最後は決めて勝ちたかった」というバーディチャンスを外したが、気を取り直し20センチのパーパットを沈めるとその表情は一瞬にして崩れた。両手を挙げたのもつかのま、すぐにその手で顔を覆う。「めっちゃ長かったです」。ここまでの苦悩をようやく払拭する瞬間を迎えることができた。
優勝会見の席では、“ギャルファー”として注目を集めたゆえの苦しみも告白。「こういう見た目だから『練習してない』ってよく言われるんです」。SNSには「他の人よりも多いと思う」というほどの心ない声も届いた。「勝って、いつか証明したい。諦めなければ、それなりに結果がついてくることが見せられた。絶対に見返してやるぞと思っていました」。こんな意地が、折れそうな心を支えていた。
グリーンから降りる時、大会名にも冠されている樋口久子が涙を流す姿を見て、また“もらい泣き”。「アマチュアの頃、プロのトーナメントに出場させてもらっていた時、樋口さんには温かいお叱りの言葉をすごくたくさんいただきました」。そんな恩人が自分のために泣いている。この事実も、激しく心を揺さぶった。「いぇーい!」と元気に登場した優勝会見の席でも、苦しんだ時のことを思い出し何度も何度も言葉を詰まらせた。「こう見えてメンタルは強くないんです」。おどけてみせる時も、泣き笑いだ。
単独首位に立った第2ラウンド後の会見で、若手の台頭について聞かれた金田は、こんな感想を口にしていた。「川崎春花ちゃんは初優勝で泣いてないんですよ。尾関彩美悠ちゃんも。逆にすごいなって思って見ていました」。この“不思議な光景”は、金田の優勝シーンには無縁だった。ただ、苦労のすえにつかんだ優勝と涙の相性はやっぱりいい。ファンのみならず他の選手にも元気と勇気を与えた、心温まる優勝劇だった。