＜楽天スーパーレディース　最終日◇30日◇東急グランドオークゴルフクラブ（兵庫県）◇6636ヤード・パー72＞

首位と2打差の2位から出た櫻井心那が6バーディ・ボギーなしの「66」をマークし、トータル21アンダーでツアー2勝目を飾った。19歳167日での2勝目はいずれも米ツアーで勝利を挙げている畑岡奈紗、宮里藍、笹生優花に続く、史上4番目の年少記録。女子ゴルフ界の新星は「まだまだ下手くそなので、そこに名前を並べてほしくないけど、私にも同じような成績を残せる可能性があると思って、練習を頑張ろうと思います」と決意を新たに世界を目指す。

「絶対にバーディを取ってやると思って、全集中しました。怒りのバーディです」。櫻井がこう振り返ったのは14番パー4だった。直前の13番パー5では鈴木愛に先にバーディを奪われ「スコアや順位を気にしてしまって、集中できていませんでした」と1メートルのバーディパットを外していた。鈴木と首位に並んで迎えた14番では会心のティショットから2打目は46度のウェッジでピン奥1メートル。これを沈めて再び一歩抜け出した。

普段のおっとりした雰囲気からは一変して、ゴルフでは自分に厳しく、試合中は強気だ。2打リードで迎えた最終18番パー5でティショットを右に曲げると「情けない」と自らを叱責。6メートルのバーディパットを外すと、優勝を決定づけたにもかかわらず、怖いぐらいの厳しい表情を浮かべた。「だってダサいじゃないですか」。思い描いた通りのバーディフィニッシュにならなかったことを悔しがった。

そんな櫻井でも弱気が顔を覗かせたのが、1番のティショット。2日目には右にOBを打っており、「また右に行きそう」と不安を口にした。それでも、古賀雄二キャディに「OBを打ったって、取り返せばいい」と背中を押されると、ティショットはフェアウェイセンターへ。さらに残り148ヤードの2打目を9Iでピンそば30センチにつけてバーディ発進。弱気は消え去り、いつもの強気が戻ってきた。

昨季のステップ・アップ・ツアー（下部ツアー）では2勝目を挙げた試合から5試合で4勝を挙げ、一気に賞金女王に上り詰めた。「今年も波に乗っていきたいです」。ツアー初優勝から2勝目まではわずか1カ月。今がまさに伸び盛りの櫻井だけに、今季中に3勝、4勝と積み重ねていく可能性は十分にある。

今年一番の目標に掲げるのは地元・長崎で開催の国内メジャー「日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯」（9月7日～）。さらに来年の海外メジャー出場へ、世界ランク50位以内も意識し始めている。「将来は海外で活躍できる選手になりたいです」。畑岡、藍、笹生。10代で2勝を挙げた先輩たちがそうだったように、櫻井も世界の舞台に羽ばたいていく。（文・田中宏治）