<ダイキンオーキッドレディス 初日◇6日◇琉球ゴルフ倶楽部(沖縄県)◇6610ヤード・パー72>
右横から強風が吹いていた18番パー5。フェーダーの河本結には厄介な逆風だったが、「きょう初めてしっかり振った」というティーショットはイメージ通りにフェアウェイをとらえた。ピンまで230ヤードの2打目は3番ウッドで花道左のラフまで運んだ。惜しくも2オンは逃したが、残り28ヤードのアプローチをピンそば1メートルに寄せてのバーディ締め。イーブンパーに戻した最終ホールに黄金世代の26歳は飛距離アップを実感した。
「右アゲンストの風が吹いているときに、あのホールで2オンを狙ったのは初めて。飛距離は伸びと思います」
今季はキャロウェイの新ドライバー「ELYTE◆◆◆(トリプルダイヤ)」を新たなエースに指名した。昨年のシーズン終了後に初めて手にして、最初のテストで即決したお気に入りの新相棒。「スピン量が減って、空力を考えて設計されたヘッド形状のおかげでヘッドスピードも上がった。飛距離に悩んでいた昨年に比べて、キャリーで7~8ヤードは確実に伸びて、250ヤードは飛んでいると思います」。
昨季のドライビングディスタンスは『241.19』ヤードで39位、フェアウェイキープ率は62.53%の66位と下位に甘んじた。飛ばない、曲がるの“二重苦”から脱却できればスコアアップに直結する。昨季のパー5の平均スコアは『4.721』だったが、「今年はできるだけ4に近づけたい」と大幅アップをもくろんでいる。風と雨でスコアが全体的に伸び悩んだこの日は4つのパー5でバーディは18番の1つだけ。ただ、計測ホールだった18番のティショットの飛距離は244ヤードで、1位の蛭田みな美に2ヤード差の2位。バーディラッシュは2日目以降のお楽しみだ。
昨季は8月の「NEC軽井沢72ゴルフ」で5年ぶりとなるツアー2勝目を挙げた。年間女王の竹田麗央、山下美夢有、岩井明愛・千怜とメルセデス・ランキング上位5人のうち4人が米国女子ツアーに主戦場を移した今季は年間女王の期待もかかる。「そこも意識はしているけど、目標は毎日を悔いなく120%生き切ること。そのための準備はしてきたし、それができれば結果はついてくると思っています」。そして、主力がごっそり抜けた状況のなか、「ツアーを盛り上げていきたい」と人気けん引へ一役買うつもりだ。
まずは昨年まで3年連続で予選落ちを喫している開幕戦で存在感をアピールすること。「そうなんですよ。コースに苦手意識はないけど、やっぱり高麗グリーンがどうもダメです。でも、今年はそこもしっかり準備してきました」。初日は4バーディ・4ボギーの「72」で10位スタート。難しいコンディションのなか、6度目の出場で最高のスタートを切り、声も弾んだ。
「結」の名前は、助け合いの精神を意味する沖縄の方言の「ゆいまーる」に由来し、沖縄が大好きな母親が名付けてくれた。「今年こそは縁がある沖縄で優勝争いがしたい。少なくとも4年連続の予選落ちは絶対ありません」。一年を占う開幕戦。「始めが肝心だと思っている」と表情を引き締めたプロ8年目は、そのあたりもしっかり心得ている。(文・臼杵孝志)