<ダイキンオーキッドレディス 2日日◇3日◇琉球GC(沖縄県)◇6560ヤード・パー72>
今季開幕戦には、2022年度のプロテスト合格組のルーキーは5人が出場。2日間を終えて3位タイにつける地元出身の荒川怜郁(れいか)のほか、トータル2オーバー・37位タイの平岡瑠依(るい)、鶴瀬華月(かげつ)の3人がプロデビュー戦で決勝ラウンドに駒を進めた。
まるで宝塚スターのような名前の鶴瀬は、劇的な予選通過だった。「初日は緊張した」と話すように、強風とコーライグリーンに苦戦してバーディなしの3ボギー・1ダブルボギーの「77」。5オーバー・88位タイのホロ苦デビューとなった。
「昨日の時点で予選通過は無理だと思っていた」と話したが、アウトから出たこの日、8番を終えた時点でさらに2つスコアを落とし、トータル7オーバーと絶体絶命のピンチ。しかし、9番でバーディを奪うと14番までに4つのバーディを奪って息を吹き返す。
圧巻だったのは最終18番。495ヤードのパー5。この時点で鶴瀬のスコアはトータル3オーバーで予選通過のカットラインに一打足りていなかった。開幕の決勝ラウンドに進むためにはバーディ以上が必要な状況で、鶴瀬は果敢に2オン狙いの勝負に出る。「気を楽に振り抜いただけです」と語った打球は、グリーン右手前のバンカーへ。ピンまで20ヤード以上と距離のある難しいバンカーショットを3メートルほどに寄せると、きっちり沈めてバーディフィニッシュで締めた。
神奈川県出身で20歳の鶴瀬は7歳でゴルフを始め、高校は憧れの宮里藍と同じゴルフの名門、東北高校に進学した。22年に3度目のプロテストで合格すると、同年末のファイナルQTで13位に入り、レギュラーツアー開幕の地、沖縄への切符を手にした。
鶴瀬のプロデビュー戦は家族も心待ちにしていた。キャディは高校生の弟、覇也(はるや)さん。そして兵庫県から祖父も駆けつけるなど、家族総出で声援を送った。家族の応援を受けて予選通過がかかったバーディトライ。「ボギーで終わるのが1番恥ずかしいと思ったので、とりあえずジャストタッチでラインは信じたところに打つだけかなと思った」という打球は見事にカップイン。ルーキーが土壇場で開幕戦の決勝ラウンド進出を決めた瞬間だった。
この日のプレーには「なんかラッキーって感じでした!」と笑顔で語った。初の予選通過に「4日回り切りたいという思いがあったのでうれしいし、プロとして出られてすごく楽しい。明日からも楽しめたらいい」。この日は中盤以降に巻き返しての「69」。運も実力のうちとはよくいったものだが、ラッキーだけで出せるスコアではない。決勝ラウンドも、ルーキーの笑顔と底力に期待したい。(文・内藤哲)