<楽天スーパーレディース 初日◇27日◇東急グランドオークゴルフクラブ(兵庫県)◇6636ヤード・パー72>
昨年のプロテストに現役高校生で唯一合格した19歳の藤井美羽が4バーディ・1ボギーの「69」をマーク、3アンダーの19位タイと上々の滑り出しを見せた。今月6日に19歳になったばかりのルーキーがこの1カ月取り組んできたが“オタ芸”。アニメ好きのオタク系女子だが、これは趣味ではなくれっきとしたトレーニングだという。
プロとしてレギュラーツアー2試合目の藤井が堂々のプレーを見せた。序盤の11、13番でバーディを奪って折り返すと、直後に雷雲接近による中断があったものの、リズムを崩すことなく、後半も安定したプレーを継続。6番パー4では残り125ヤードからの2打目を9番アイアンで1メートルにつけ、3アンダーまでスコアを伸ばした。
「ジュニアのころに何度か熱中症になったことがあって、暑さには弱いんですけど、今日は最後まで冷静にプレーすることができました。冷却スプレーをたくさんかけたので、涼しく感じて気持ち良かったです」。キャディを務めた母・智子さんが小まめに飲み物や塩飴を差し出してくれたことにも感謝した。
「最近、久しぶりに会った人に“体がしっかりしたね”と言われることが多いので効果が出ているんだと思います」と話すのがトレーニングの一環として取り入れているオタ芸。コンサートなどで、ペンライトを手にしたアイドルファンが踊るパフォーマンスの一種で、藤井はYOASOBIの『アイドル』に合わせて踊っている。
「トレーナーさんに『美羽ちゃんに合うトレーニングを見つけたから』と言われて始めました。一日に15分ぐらいですけど、肩周りが筋肉痛になります」。練習後にジムで踊るという約束で、先日、そのお披露目を終えたばかり。下半身を止め、腕と体を連動させて動くのが、オタ芸の、そしてトレーニングのポイントだという。
ちなみに藤井が言う“トレーナーさん”とは斎藤大介氏。これまでリディア・コ(ニュージーランド)、畑岡奈紗、渋野日向子など、トッププレーヤーを担当してきた名トレーナーが考案したのだから、オタ芸には本当に効果があるのだろう。「アイドル」は先月まで放送されていた人気アニメ『推しの子』の主題歌。「(原作の)漫画の連載開始から読んでいて、アニメももちろん見ていました」という藤井が楽しく続けられるように考えられたメニューでもある。
レギュラーツアーでの予選通過は昨年11月の「大王製紙エリエールレディス」(51位タイ)で一度経験しているが、当時はプロテスト合格後ながら、JLPGA入会前という微妙な立場でアマチュアとして出場。「2日目もアンダーパーで回るのが目標です」とオタ芸効果でプロとしては初めての予選通過を目指す。(文・田中宏治)