＜ヤマハレディースオープン葛城　事前情報◇28日◇葛城ゴルフ倶楽部 山名コース（静岡県）◇6480ヤード・パー72＞

「負けず嫌いじゃなくなりました」。ヤマハ契約プロによる撮影会が行われ、現在ツアーを休養中の有村智恵も会場に姿を見せた。2021年のオフに結婚した有村は昨年末、SNSで妊活のため、ツアーを離れることを表明。今大会にも出場しないが、ホステスプロとして、ギャラリー向けの試打コーナーでのレッスンなど、プレーとは違う形で大会を盛り上げる。

これまでホステスプロとして、今大会には普段の試合以上の緊張感を持って臨んできた有村は「リラックスした状態でここにいるというのは不思議ですね。他の試合だったら、いいなあ、私もプレーしたいなと思うのかもしれませんけど…」。難コースの葛城でホステスプロを務める重圧の大きさを感じさせた。また、現在の生活ぶりを尋ねると「状況が日々変わるので臨機応変に、ゴルフができる日にはして、そうでない日は本当にダラダラしています。ツアーに出ていた時から休日はダラダラしていましたし、私、ダラダラするのは得意なんです（笑）」と意外な一面を明かした。

ツアーを離れたことで、試合のプレッシャーから解放され、心境にも変化があった。「以前は何事も負けるのが嫌だったんです。5歳の甥っ子と駆けっこをして、いい勝負はしてあげるけど、最後は必ず私が前に出るみたいな感じで、そんな時でも負けるのは嫌でした。でも、今はゲームなんかで負けてもあんまり悔しくなくなりましたね」。

同じように他の選手の活躍に対する気持ちも変わった。「すごいなあと思うと同時に、以前なら悔しい気持ちもあったんですけど、今はそういう感じはありません。刺激はもらっているんですけど、うらやましいとはならないんです」。ツアーに復帰すれば、これが自然と勝負師に戻るのか、新しい感覚は変わらないのか、こればかりは本人にも分からないものだろう。

将来的なツアー復帰は頭にあるものの、今後については未定。「子供を授かるかどうかで変わってくるので、これからのことは決めようがないですね。戻る気は満々で、そのためにも早く子供を作りたくて、この決断をしたんですけど、だからといって焦るものではないのかなと思っています」。トーナメント会場のように直接、声援や拍手を送ることはできないが、有村自身が望む形でツアーに復帰する日が来ることを応援しているファンはきっと大勢いるはずだ。（文・田中宏治）