<Vポイント×SMBCレディス 最終日◇23日◇紫カントリークラブ すみれコース(千葉県)◇6668ヤード・パー72>
米国女子ツアーを主戦場にするツインズが、今週も日本で躍動した。岩井明愛は6バーディ・1ダブルボギーでこの日ベストの「68」をマークし、40位からトータル1アンダー・7位にジャンプアップ。妹の千怜は1イーグル・4バーディ・3ボギーの「69」で回り、トータル3アンダー・3位に入った。
明愛は裏街道から猛チャージをかけた。「落ち着いて試合に入れました。きのうまでは打つときも、なんだかドキドキがあった。いいプレーができるときは落ち着いているというか、失敗を恐れないゴルフができているんだと思います」。舞台は2022年に「日本女子オープン」が行われた難コースだが、「頭を使うようなコースは好き」。ティショットであえて曲げたり、刻んだりと、戦略性を駆使して攻略した。
唯一の心残りは、最終ホールでバーディパットがカップに届かなかったこと。「もう…本当にショートはダメです。分かっているんですけど…。来週はちゃんと打てるように頑張ります」。今夜、米国女子ツアー「フォード選手権」(27日開幕、米アリゾナ州)に向けて出国予定。「(きょうの流れを)繋げるというよりかは、悔しかったところを来週に持っていきたい」。スコアや順位に満足せず、それを糧に次戦へ挑む。「もちろん優勝はしたいけど、優勝争いをたくさんして、チャンスが来たら勝てればいいかな」と意欲をのぞかせた。
千怜は「74」「70」「69」と右肩上がりにスコアを伸ばした。開幕戦「ダイキンオーキッドレディス」からの2試合連続優勝とはならなかったが、底力を発揮した。
実は、開幕戦後に明愛が39度以上の熱でダウン。千怜も今週月曜日の夜におう吐やけいれん、過呼吸に襲われた。「いままでにない経験で『ヤバいかも』とすごく焦った」と救急車で緊急搬送され、胃腸炎と診断。自宅で療養し、なんとか初日のティオフに間に合わせた。「今週は本当に出られないと思っていたので、ちょっとホッとしています。とりあえず、いまは回り切れて良かったなって」。54ホールを完走して、安どの笑みをこぼした。
この日は朝から体の動きも良く、ラウンド中には感覚が戻ってきたとも感じている。「やっとスイングができてきた。うれしいです」。12番パー5では残り231ヤードから5番ウッドで2オンに成功し、「上って下る」13メートルのパットを決めてイーグルを奪取。体調不良を感じさせないようなド派手なプレーで観客を沸かせた。
今月24日付の世界ランキングで40位以内に入れば、海外メジャー今季初戦「シェブロン選手権」の出場資格を得られる(現時点で41位)。「どれくらい(ランクが)上がるかはまだ分からないですけど、トップ10で上がれて良かったなという思いです」。最善は尽くした。あとは結果を待つのみだ。
明愛と千怜、そして「69」で回った河本結が、決勝ラウンドで最もバーディ以上を獲得した選手に贈られる『バーディラッシュ賞』を獲得。Vポイント100万ポイント(提供:株式会社オートバックスセブン)を山分けした。そんな手土産とともに、ふたたび主戦場へ。次は「フォード選手権」で好成績を収め、地元・埼玉で行われる「富士フイルム・スタジオアリス女子オープン」(4月11日開幕)に戻ってきたい。(文・笠井あかり)