ゴルフを愛するみなさん、こんにちは。原田香里です。今回は皆さんに残念なお知らせをしなくてはなりません。まだコロナ禍にあった2021年、JLPGAの理事を退任した後、ご縁があってこちらで始まった『ゴルフ未来会議』ですが、今回が最終回となってしまいました。
プロゴルファーとしての経験、理事としての日々を送った私には、コラムを書くなどというのは初めての体験でした。理事という立場でゴルフ業界の“ど真ん中”にいたのですが、辞めたあとは試合に毎週出るわけでもなく、自分だけの生活が始まるのかな、と思っていたところでした。
編集部からお声かけ頂いたのはそんなタイミングでした。週に1回のコラムを書き始めたことで、外を向きかけていた私自身のベクトルが、それまで身を置いていたゴルフ界に踏みとどまった、と言い換えてもいいでしょう。
実は、理事退任後、最初は試合に出るかどうかも決めていなかったのです。それが、退任した2021年に歴代優勝者として出場権のある「日本女子プロゴルフ選手権」に出場したことで、レジェンズツアーへの気持ちも固まり、先週お話ししたように優勝への意欲もわいてきました。
同時に、自分の人生のなかで想像もしていなかったコラムを書くという経験が始まったことで、いろいろなことを知らなくてはならないと思うようになりました。若い選手たちの動向を気にかけ、それまでは内部にいたゴルフ界を客観的に見る。思いもかけない日々が始まったのです。
初めての経験ですから、自分の思いがどうやったら伝わるか、と心を砕くことも続きました。コラムに限らず、読んでいただくことを前提にした文章は、読み手の方次第という部分が強いのは十分にわかっています。それでも、できるだけ、誤解のないように自分の言いたいことを伝えようとして来ました。
みなさんからいただくコメントが気になってしまうこともありました。一方で「コラム読んでるよ」とプロ仲間や後輩、関係者の方や、ときにはラウンドしに行ったゴルフ場でアマチュアの方々に言っていただいたり、SNSなどで連絡をいただくのがうれしかったのもあります。そのうちに、人様にご迷惑をかけないように、自分が苦しくない程度に自分を表現できたら幸せなことなんだろうな、と思うようになりました。人生のなかで、こういう経験ができたのは本当にありがたいことでした。読んでいただいたみなさんのおかげです。
日本の女子ツアーは、来週、いよいよ開幕します。(3月6~9日、ダイキンオーキッドレディス)昨年、活躍した竹田麗央さんや山下美夢有さん、岩井ツインズなどがこぞって米ツアーに戦いの場を移した2025年(すでにそれぞれ存在感を示していますね)。日本は少し寂しくなってしまいますが、また、活躍する選手が出て来ることでしょう。
このコラムを通して言い続けてきたことを、改めて選手のみなさんに言っておきたいと思います。「プロゴルファーは公人ではあるけど決して特別な存在ではない」ということをしっかりと踏まえて、一社会人としておかしくない振る舞いをしてください。
これは、自分自身にも言い聞かせないと…と思っています。華やかな世界に見えますが、それだけでないことはわかっているはずです。華やかな空気に溺れることなく、おごることなく、調子の波に振り回されることなく、フラットな気持ちで自分を貫いてほしいと思います。
3年以上続いたコラムが終わってしまい、読者のみなさんとしばしお別れするのは寂しいですが、みなさんとはまたどこかでお会いできるような気がします。ゴルフ場などで私を見かけたらぜひ! お声がけください(笑)。長い間、本当にありがとうございました。
■原田香里(はらだ・かおり)
1966年10月27日生まれ、山口県出身。名門・日大ゴルフ部にで腕を磨き1989年のプロテストに合格。92年の「ミズノオープンレディスゴルフトーナメント」でツアー初優勝。93年には「日本女子プロゴルフ選手権大会」、「JLPGA明治乳業カップ年度最優秀女子プロ決定戦」勝利で公式戦2冠を達成。通算7勝。その後は日本女子プロゴルフ協会の運営に尽力し21年3月まで理事を務めた。