3月6日(木)から行われる「ダイキンオーキッドレディス」で幕を開ける2025年の国内女子ツアー。今回はシード権&リランキングについておさらいしよう。
プロゴルフトーナメントで戦う選手にとって、何よりも重要なのが『出場権』。これがなければ、どれだけ試合に出たくても出場することはできない。そして、全選手が目指すのが、翌シーズンにフル出場できる“シード権”だ。
女子ツアーでは、大会順位に応じて付与されるポイントで争う「メルセデス・ランキング」(以下MR)によってシード選手が決まる。シーズン終了後、50位以内に入れば翌年のフル出場権を獲得。また、シーズン中に優勝した選手も翌年の出場権を得る。ただし、いずれの資格も“有効期間は翌年のシーズン終了まで”という点は共通している。
実際、2023年に初優勝を含む2勝を挙げてブレークした菅沼菜々は、昨季は低迷してシードを失い、今季は下部ツアーが主戦場となった。このことからも、厳しいシード争いの現実がうかがえる。
また、単年ではなく複数年のシード権も存在する。MRでシーズン1位になった年間女王には4年間のシードが付与され、公式戦(メジャー大会)優勝者には3年シードが与えられるなど、さまざまな規定がある。
国内女子ツアーにおいて、この複数年シードの価値は非常に高い。というのも、19年に規定が変わり、『シードの開始年度を、獲得翌年から10年のうちに選手の任意で選択できる』ようになったためだ。通常のシードを失った際の“保険”として活用できるほか、米ツアー参戦の足がかりにもなるなど、キャリアに応じた柔軟な選択が可能となった。
23年の年間女王・山下美夢有と、昨季の女王・竹田麗央は今年から米国女子ツアーへ主戦場を移したが、「公式競技で優勝し(同一年度に2勝以上した場合を含む)、かつ当該年度JLPGAツアー終了時点でメルセデス・ランキング1位の者」という資格により、5年シードを保持している。なお、同一年度に複数の複数年シード条件を満たしても、行使できるのは1つのみで、期間を加算することはできない。
シーズン途中にQTで決められた順位の見直しを行うリランキング制度も、シーズンの見どころのひとつだ。この制度は、2018年に「選手間の競争力を高め、ツアーの強化を図ること」を目的に導入された。初年度には原英莉花がリランキングを突破してシードを獲得し、翌年の2019年には稲見萌寧が初優勝を飾るなど、開幕時に十分な出場権を持たなかった選手が、この制度を通じて飛躍するケースも多い。
リランキングの対象となるのは、シード権を持たない選手たち。例年、年末に行われるQTの成績に応じて、翌シーズンの“優先出場順位”が決まる。QT上位者ほど出場機会が多くなるが、このランキングをシーズン途中に見直すことで、好調な選手に試合出場のチャンスを与えるのがリランキングの仕組みだ。
今年の第1回リランキングは、6月の「ニチレイレディス」終了後に実施。第2回は9月の「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」終了後に行われる。つまり、開幕時点のQTランクが有効なのは最初の14試合まで。QT上位者はその位置を守るための戦いとなり、一方でQT下位の選手は限られた機会で結果を残し、MRのポイントを積み重ねることが求められる。
なお、シーズン中に優勝すれば、その時点で翌年のシード権を獲得できるため、“リランキング卒業”となる。今年もこの制度によって、歓喜する選手、涙をのむ選手が現れるだろう。どのようなドラマが生まれるのか、注目したい。