<Vポイント×SMBCレディス 初日◇21日◇紫カントリークラブ すみれコース(千葉県)◇6668ヤード・パー72>
このコースで幼少期から何度もプレーしている、コーチでキャディも務める千葉県出身の大西翔太氏と、何度も意見をすり合わせながらリーダーボードの最上位に名前を乗せた。青木瀬令奈は、「基本的に、普段はほとんど(大西氏の意見を)聞かないタイプなんです。でも今週に限っては6:4くらい聞いてやっていました」と言って笑う。それが5アンダーの単独首位発進につながった。
対峙するのは2022年に「日本女子オープン」が開かれたコース。もちろん、ラフの長さなどはメジャー仕様とまではいかないが、「一瞬たりとも気が抜けない。チャンスホールもない」という難コースであることに変わりはない。この日の平均ストロークは『74.2963』。規定打数を2.2963打も上回った。
そのなかで1.5メートルを沈めた4番パー5から、3連続バーディを奪った。5番は1メートル、6番も2メートルといずれもショットをつけて記録したものだ。「コーチから『きょうは任せて』と力強い言葉をもらっていた。見た目のイメージとは逆の意見もあったけど、そこはすり合わせて。打ち出したい方向に毎ショット、自信を持って打てたかなと思います」。二人三脚で、結果的に6個のバーディ(1ボギー)を奪うことができた。
開幕前、昨年11月に両足の種子骨(しゅしこつ)を骨折していたことを明かした。今も様子を見ながら、痛み止めの薬を飲んだり、シップを貼りながらプレーしている。「(痛みは)ゼロではない。立ったり歩いたりが痛いので、あまり大きく動かないように。練習ラウンドは歩数が増えるので、知っているコースではそんなにしないようにと思っています」。しかし、今週はしっかり18ホールを把握するため、リスクを承知で火曜日と木曜日に9ホールずつ回った。こういった下準備も当然、生きている。
開幕戦の「ダイキンオーキッドレディス」は予選落ちを喫したが、オープンウィークを挟み躍動。「先週休めたのはかなり大きかったですね」と、この変則的な日程にも助けられている。昨季は9度のトップ10入りを果たしながら未勝利に終わった。23年には2勝を挙げているだけに、物足りない結果ともいえる。「去年は優勝争いがなかったし、初日からいいスタートを切れたのもひさしぶりの感覚。いいゴルフができて良かったです」。実に8年ぶりとなる単独首位発進は、不安を抱えながら得た成果といえる。
「まだ初日。こういうゴルフをあと2日やりきらないと勝てないと思うので、しっかり気を引き締めてやっていきたいです」。あすも相棒と入念に話し合いながら、軽やかに歩みを進める青木の姿が見られそうだ。