<住友生命Vitalityレディス 東海クラシック 事前情報◇12日◇新南愛知カントリークラブ美浜コース(愛知県)◇6560ヤード・パー72>
メルセデス・ランキングは2位、賞金ランキングも4季連続の1億円超えが目前の3位にいる。平均パット数(1.7308)、パーセーブ率(91,6936)、リカバリー率(76.4000)などでも1位に立っている。並みの選手ならば絶好調宣言が飛び出してもおかしくないが、2年連続年間女王の山下美夢有は¨不調¨の枠にくくられる。
出場10試合連続でトップ10入りも、欠けている唯一のピースは「優勝」。海外メジャーに参戦していた関係で約1カ月半ぶりの日本ツアーとなった前週の国内メジャー「ソニー 日本女子プロ選手権」も優勝した竹田麗央に1打及ばず、今季6度目の2位に終わった。
「いいときは何も考えないというか、どう打ってもいいショットが出る。逆にこういう悪いときは考える。でも、こういう時間を大切にしたい。今は結果につながらなくても(コーチの)父と話しながら、それを信じてやっているので、特に落ち込むこともないです」
これだけの成績を残しても「悪い」という言葉が口をついて出る。これも女王の宿命。ただ、さらに進化するための時間と割り切っているから悲壮感はない。「試合に出続けていると、気が付かないうちに軸とかがずれたりする。そういうのは、大げさにやらないと思った通りのスイングはできないと思うので、その辺かなと思います」。父・勝臣さんとの二人三脚でスイングを微調整。視線は常に前を向いている。
大阪・寝屋川市立第七中3年の2016年にジュニア予選会を勝ち抜き、この大会でツアーデビューを果たした。初日は2アンダーの「70」で回り、28位につけたが、2日目は「73」と落として、予選カットラインに1打届かなかった。それでも、「プロを目指したい気持ちが強くなった」と将来の道を決めた大会。思い出の舞台での今季初Vも趣向としては悪くないだろう。
37試合が組まれた長いシーズンも終盤戦に入ってきた。今大会を含めて残り11試合。「そろそろシーズンも終わりだなぁと思う。勝てたらいいなと思うけど、それくらいですかね」。その話しぶりに焦りないが、「お待たせしました」の一等賞をファンも山下自身も待っている。(文・臼杵孝志)