<Vポイント×SMBCレディス 最終日◇23日◇紫カントリークラブ すみれコース(千葉県)◇6668ヤード・パー72>
Vポイント(CCCMKホールディングス)とスポンサー契約を結ぶ渋野日向子は、最終日を2バーディ・2ボギーの「72」で回った。トータル2アンダーと伸ばせなかったが、6位でフィニッシュ。日本開催では2022年10月「樋口久子 三菱電機レディス」以来、主戦場とする米国女子ツアーを合わせれば、昨年6月「KPMG全米女子プロ」以来となるトップ10入りを果たした。
大ギャラリーを引き連れてのプレー。2メートルがカップ右を抜けた4番パー5など、予選ラウンドで好調だったパッティングが序盤から決まらなかった。「気合が入っていた分、ちょっと打ち急いでいるなという感覚があった。難しいラインで、いいピンポジションに切ってあった」ともどかしい前半を過ごした。
先に来たのは、折り返し直後10番からの連続ボギー。苦しい流れになってしまったことを悔やんだが、2オンに成功した12番パー5、最終18番でバーディを奪って戻し、トップ10入り。「久しぶりに上の方で戦えて楽しかった」と明るい表情で振り返った。
米国女子ツアーを主戦場にして4年目。同週に開催予定だった「ファーヒルズ朴セリ選手権」が急きょ中止になったことから、このホステス大会への出場が叶った。「日本の試合に帰ってくるたびに、たくさんの方に応援していただけて初心に戻れる」。
この“初心”という言葉は、昨年8月「meijiカップ」にスポット参戦したときにも話していたもの。「ボギーを打とうが“次バーディ獲れ”“頑張れ”って言ってもらえることが幸せなことだと、帰ってくるたびに痛感する」。米ツアーでも日本のファンが応援に集まるが、母国でのプレーは格別だ。
今季からクラブ契約フリーになり、スイング改造も引き続き、継続している。フェアウェイキープ率61.9%(26/42)、パーオン率63%(34/54)と精度については「半分もいっていない」と課題は残ったままだが、「伸びしろはたくさん」。そして、かなり飛んでいた。
3日間のドライビングディスタンスは256ヤードで、穴井詩、勝みなみら飛ばし屋に次いで全体9位。2日目の7番ホールでは273ヤード、ドラディス賞がかけられていた最終日の4番ホールは260ヤードだった。「(最終日は)振れているなという感覚もあったし、振ったら飛んでくれていた。なんせ、詩さんと(同組)だったので振りましたよ(笑)。30ヤードくらい置いていかれたけど」と笑ったが、一方の穴井も、渋野の飛距離の伸びには目を丸くしたという。
17番ではトラックマンによる飛距離の計測も行われていたが、渋野は最終日に初速65m/s、キャリー249ヤードを記録した。普段のボール初速は140mphほどで、換算すればおよそ63m/s。それと比較しても振れていたことがよく分かり、効率よく飛ばしていることも数値から見て取れる。
最後は同じく米ツアーメンバーの吉田優利が唯一の2桁アンダーで圧勝する姿を見届け、祝福した。「去年うまくいかないこともあったと思うけど、ひたむきに頑張って、ずっと変わらず笑顔で接してくれていた。優勝する姿を見られてすごくうれしいし、めちゃくちゃ刺激になった」。そして「フォード選手権」(27日開幕、米アリゾナ州ワールウインドGC)に向けて渡米し、ここから米本土での戦いが本格化する。「たくさんパワーもらったので」と声援を胸に、主戦場へ戻った。(文・笠井あかり)